施工管理技士法規-建設業法

建設業法概要

1 目的
建設業法は、建設業を営む者の資質の向上、
建設工事の請負契約の適正適正化を図ることによって、
建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、
建設業の健全な発達を促進し、公共の福祉の増進に寄与することを目的に定められたものです
 (建設業法 第ー条参照)
建築工事の注文者を発注者、工事を受注する建設業者を請負人といい、後者については、
発注者から直接工事を請負う元請負人と元請負人から一部を請負う下請負人に分けられる。
両者の間で下請契約が締結され、下請負人を保護するために、
賃金の支払いや安全教育の援助など、元請負人の義務が定められている。

2 建設業の許可
(1) 建設工事

建設工事の種類は建設業法上で、2つの一式工事と26種類の専門工事に分けられ、
その工事の種類に応じた建設業の業種ごとに許可を受けることとされています。

建設工事の種類及び業種は、建設業法の別表に掲げられています


 
(2) 建設業許可 

建設業許可は許可権者により国土交通大臣・都道県知事の許可があり、
元請から直接請け負った工事につき、下請けに出す金額により一般と特定に区分されます。


①大臣許可:2以上の都道府県に営業所を持ち、営業しようとする場合 
たとえば、東京都と大阪に営業所をもうける場合などは大臣許可の申請が必要となります

② 知事許可:1都道府県内にだけ営業所を持ち、営業しようとする場合
知事許可は、ひとつの都道府県内にのみ営業所を設ける場合に申請する許可のことです

両者とも、いずれの地域でも自由に営業活動すなわち施工ができます

営業所とは?
営業所とは、本店、支店、若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいい、
少なくとも次の要件を備えているものをいいます
・請負契約の見積り、入札、契約締結等の実体的な業務を行っていること
・事務所等建設業の営業を行うべき場所を有し、電話、机等付器備品を備えていること
・上記1.に関する権限を付与された者が常勤していること
・技術者が常勤していること
単なる登記簿上の本店、事務連絡所、工事事務所、作業所等はこの営業所には該当しません


③ 許可を受けずにできる軽微な建築工事
ⅰ)工事1件の請負代金が1,500万円未満の建築一式工事(税込)

ⅱ)請負代金の額に関わらず、木造住宅で延べ面積が150㎡未満の
工事(主要部分が木造で、1/2以上を住居の用に供するもの延べ面積が150㎡に
満たない木造住宅工事でも、1/2以上を店舗に使用する場合は許可が必要

ⅲ)工事1件の請負代金が500万円未満の建築一式工事以外の工事(税込)
ただし、請負契約を分割しても、請負代金合計が規定の金額を超える契約は違反である
また材料の提供や運送費の提供があるとき、これも市場価格に換算して契約請負の一部とみなす

④ 許可の更新
建設業許可の有効期間は、許可のあった日から5年です。
5年毎に更新の手続きを行わなければなりません。
この更新の手続きは、有効期間の満了日の30日前までにに行わなければなりません。
(大臣許可は通例で3か月~6か月前に申請をする事なってます)

⑤ 付帯工事
建設業法における付帯工事とは、許可業種以外の工種の事をさします。
付帯工事とは、「主たる建設工事を施工するために必要を生じた他の従たる建設工事」又は、
「主たる建設工事の施工により必要を生じた他の従たる建設工事」であって、
それ自体が独立の使用目的に供されるものではない工事を指します


(3) 建設業の許可による分類

① 特定建設業
発注者から直接請負う1件の建設工事につき3,000万円(建築工事業の場合は4,500万円)以上の
下請け契約を締結して施工する者に対する許可

(資本金8000万以上)

② 一般建設業
発注者から直接請負う1件の建設工事につき3,000万円(建築工事業の場合は4,500万円)未満の
下請け契約を締結して施工する者に対する許可

(契約を履行する財産的基礎が必要)
ただし、建設業の許可は、特定建設業または一般建設業のいずれか一方の許可しか受けられない

3  建設工事の請負契約

(1)請負契約の原則
建設業法第18条 建設工事の請負契約当事者は、各々の対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結し、
信義に従って誠実にこれを履行しなければならない

(2 )請負契約の内容
建設業法第第19条 建設工事の請負契約当事者は、前条(第18条)
の趣旨に従って、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、
署名又は記名押印して相互に交付しなければならない

① 工事内容

② 請負代金の額

③ 工事着手の時期及び工事完成の時期

④ 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法

⑤ 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは一部の中止の申出があった場合における工期変更、
請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め

⑥ 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担 およびその額の算定方法に関する定め

⑦ 価格等(物価統制令(昭和21年勅令第118号)第2条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事の内容の変更

⑧ 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における 損害金の負担に関する定める

⑨ 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め

⑩ 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡の時期

⑪ 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法

⑫ 工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容

⑬ 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金

⑭ 契約に関する紛争の解決方法


(3 )請負契約の基本となる規定
請負契約をより公正なものにするため、以下のような規定が定められている
(解り易くするため不要な条文は削除していますので条文と比べてご覧ください)
建築士受験の際はアンダーラインの色を替え同様に不要な条文を省くと理解しやすいです

① 現場代理人の選任等に関する通知
請負人は、請負契約の履行に関し工事現場に現場代理人を置く場合においては、
当該現場代理人の権限に関する事項及び当該現場代理人の行為についての
注文者の請負人に対する意見の申出の方法を、書面により注文者に通知しなければならない

② 不当に低い請負代金の禁止
注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、
その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない
金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない

③ 不当な使用資材等の購入強制の禁止
注文者は、請負契約の締結後、自己の取引上の地位を不当に利用して、
その注文した建設工事に使用する資材若しくは機械器具又はこれらの購入先を指定し、
これらを請負人に購入させて、その利益を害してはならない

④ 発注者に対する勧告
建設業者と請負契約を締結した発注者が 規定に違反した場合において、
特に必要があると認めるときは、
当該建設業者の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、
当該発注者に対して必要な勧告をすることができる

⑤ 建設工事の見積り等
建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、
工事の種別ごとに材料費、労務費その他の経費の内訳を明らかにして、
建設工事の見積りを行うよう努めなければならない
また建設業者は、建設工事の注文者から請求があつたときは、
請負契約が成立するまでの間に、建設工事の見積書を提示しなければならない
一方、注文者は、請負契約の方法が随意契約による場合にあつては契約を締結する以前に、
入札の方法により競争に付する場合にあつては入札を行う以前に、
できる限り具体的な内容を提示し、かつ、当該提示から当該契約の締結又は入札までに、
建設業者が当該建設工事の見積りをするための一定の期間を設けなければならない

⑥ 契約の保証
注文者は、建設業者に対して前金払をする前に、保証人を立てることを請求することができる。
但し、公共工事に規定する保証事業会社の保証に係る工事又は政令で定める軽微な工事については、この限りでない

⑦ 一括下請負の禁止
建設業者は、その請け負つた建設工事を、いかなる方法をもつてするかを問わず、
一括して他人に請け負わせてはならない
また一括して請け負つてはならない。
ただし、多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるもの以外の場合は、当該建設工事の元請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を得たときは、一括下請負が認められる

⑧ 下請負人の変更請求
注文者は、請負人に対して、建設工事の施工につき著しく不適当と認められる下請負人があるときは、
その変更を請求することができる。
ただし、あらかじめ注文者の書面による承諾を得て選定した下請負人については、この限りでない

⑨ 工事監理に関する報告
請負人は、その請け負つた建設工事の施工について の規定により建築士から工事を設計図書のとおりに実施するよう求められた場合、
これに従わない理由があるときは、注文者に対して、その理由を報告しなければならない

⑩ 請負契約とみなす場合
委託その他いかなる名義をもつてするかを問わず、
報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約は、
建設工事の請負契約とみなして、この法律の規定を適用する

(4 ) 元請負人の義務(下請負人の保護)
元請負人は、発注者に対して工事施工の全責任があり、下請負人の工事施工にも責任を持たなければならない
無理な施工計画を下請けに押し付けないよう下請負人を保護するため以下の規定がある

① 下請負人の意見の聴取
元請負人は、その請け負つた建設工事を施工するために必要な工程の細目、
作業方法その他元請負人において定めるべき事項を定めようとするときは、
あらかじめ、下請負人の意見をきかなければならない

② 下請代金の支払
元請負人は、発注者から、請負代金の支払を受けたき、
下請負人に対して、支払を受けた日から一月以内のできる限り短い期間内に支払わなければならない

③ 検査及び引渡し
元請負人は、下請負人からその請け負つた建設工事完成の通知を受けたとき、
当該通知を受けた日から20日以内で、かつ、できる限り短い期間内に、
その完成を確認するための検査を完了しなければならない。
検査の確認後、下請負人が申し出たときは、
直ちに、当該建設工事の目的物の引渡しを受けなければならない。
ただし、下請契約において定められた工事完成の時期から
20日を経過した日以前に引渡しを受ける旨の特約がされている場合には、この限りでない。

④ 特定建設業者の下請代金の支払期日等
 特定建設業者が注文者となつた下請契約の下請代金の支払期日は、
下請負人が目的物申出の引き渡しを申し出た日から50日以内の
できる限り短い期間内に定められなければならない

⑤ 下請負人に対する特定建設業者の指導等
発注者から直接建設工事を請け負つた特定建設業者は、
当該建設工事の下請負人の指導に努めるものとする
下請負人が規定に違反していると認めたときは、
違反している事実を指摘して是正を求めるように努め、
それでも是正しないときは、国土交通大臣若しくは都道県知事に、
速やかに、その旨を通報しなければならない。
すなわち指導、助言であり、強制できない。

⑥ 施工体制台帳及び施工体系図の作成等
特定建設業者は、発注者から直接建設工事を請け負つた場合において、
当該建設工事を施工するために締結した
下請契約の請負代金の額が政令で定める金額以上、
すなわち下請け代金が3,000万円(建築工事業の場合は4,500万円)以上のとき、
建設工事の適正な施工を確保するため、
元請・下請の関係を示した施工体系図および下請負人の商号又は名称、
建築工事の内容などを記載した施工体制台帳を作成し、
工事現場ごとに据え置くとともに、発注者から請求があったときは、
その発注者の閲覧に供しなければならない。

(5) 建設工事の請負契約に関する紛争の処理
紛争は当事者間で協議解決するのが原則だが、
契約書記載の朝廷が成立しないときは、紛争の解決を図るため建設工事紛争審査会を設置する。
同審査会は建設工事の請負契約に関する紛争や斡旋、調停仲裁を行う権限を有する。

4  施工管理技術者
建設業者は、施工技術の確保に努めなければならない。

一方、国土交通大臣は、施工技術の確保に資するため、
必要に応じ、講習の実施、資料の提供その他の措置を講ずる。

(1) 主任技術者
建設業者は、建設工事を施工するとき、
施工の技術上の管理をつかさどるものとして工事現場に主任技術者を置かなければならない。

(2) 監理技術者
発注者から直接建設工事を請け負つた特定建設業者は、
当該建設工事を施工するために締結した
下請契約の請負代金の額が政令で定める金額以上になる場合、
すなわち下請け代金が3,000万円(建築工事業の場合は4,500万円)以上場合は、
現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるものとして、
主任技術者に代えて監理技術者を置かなければならない、
すなわちこの現場では下請からは主任技術者が、
元請からは監理技術者が技術の管理にあたる。

(3) 専任の監理・主任技術者が必要な工事

建設業法第26条第3項
公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する
施設若しくは工作物に関する重要な建設工事
工事一件の請負代金が2,500万円(建築一式工事の場合は5,000万円)以上のものについては,
工事の安全かつ適正な施工を確保するために、
工事現場ごとに専任の技術者を置かなければなりません
なお、専任技術者の配置は下請工事であっても必要です

専任とは (監理技術者制度運用マニュアルより抜粋)
他の工事現場に係る職務を兼務せず、
常時継続的に当該工事現場に係る職務にのみ従事していることをいいます
営業所の専任技術者」との兼任もできません

2以上の工事を同一の主任技術者が兼任できる場合
建設業法施行令第27条第2項
公共性のある施設もしくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な
工事のうち密接な関係のある二以上の建設工事を同一の建設業者が同一の場所または近接した
場所において施工する場合は、同一の専任の主任技術者がこれらの工事を管理することができます。
※注 この規定は専任の監理技術者には適用されません

営業所の専任技術者」は、請負契約の締結にあたり技術的なサポート
(工法の検討、注文者への技術的な説明、見積等)を行うことが職務です
契約の所属営業所に常勤していることが原則です。
例外的に、技術者の専任性が求められない工事であっても当該営業所で契約締結した
建設工事で当該営業所が職務を適正に遂行できる程度近接した工事現場で
常時連絡が取れる状態にあって、所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある場合に
限り兼務することができます。

また専任技術者でなければならない監理技術者は、監理技術者資格証(有効期限5年)
の交付を受けてる者であって、
当該専任の期間中のいずれかの日の前5年以内に行われた
国土交通大臣の登録を受けた講習を受講してなければならない、
講習の有効期限の管理も必要となる

書換しないと・・・資格は無くなりますよ・・・
申請なおし&資格再取得は大変ですよ。

そういえば、先日模擬試験を受けてみました
結果58/60=93点 満点は取れませんでしたが
もしも、全問回答したら・・・80点かな(笑)
選択回答は楽勝、やはり、必須回答が必要な施工管理法・設備を学習するのが正解です
法規も、建築基準法・建設業法を学んでおけばあとは、重複出題なので問題無しです。
施工問題は、躯体・仕上げで選択各5問ですからその辺は過去問をやることで問題ないと思いました
法規はまだ終わってませんが、
次回からは複合で学ぶと点数効果の高い鉄筋コンクリート(コンクリート・鉄筋)
鉄骨工事をやって行きましょう

建築に興味・関係のないブロガーさま・・・
私の勝手な想いにお付き合いくださり心が痛みます。
いつも、イイねやあたたかいコメントに感謝しております。