脚本を書くことになった。


どうやらまずいことになった。


だって、「質の高いドラマを作る!」というのが目標で、その為の経験豊富な監督で、その為の優秀なカメラマンだ。


それなのに物語を作るのが素人の僕?


右も左もわからない、今まで小説や物語に触れてこなかった僕だ。


国語のテストも小説の読解だけやけに点数が低かった僕だ。


十分まずすぎる。


でもやるしかない。


だって、「やる」って言っちゃったし。


「出来ますよ」とか言うくせにいつも後から冷や汗かくんだ。


今回もそんな感じでやるしかなくなった。


問題は沢山ある。


何をするべきかはわかってる。


脚本を書けばいい。それだけ。


だけど書き方がわからない。


物語の作り方もわからないけど、基本のフォーマットがわからない。


「やっぱりセリフの上には名前があった方がいいよな。」


「これはどのシーンなのかもわかった方がいいよな。」


「あれ、ちょっと待てよ。脚本ってそもそも縦書きか?」


「こんなことなら幼稚園のお遊戯会とか学校の演劇とかちゃんとやっとくんだった。」


そんなことが頭の中を駆け巡る。


僕が当時持ち合わせてた知識はせいぜい一作目の脚本で監督が言っていた修正点や、発言の一つ一つ。


あとはネットに転がってる使いまわされた知識くらい。


当然、オリジナリティなんて出しようがない。


1文字も書けないまま1日目が終わったのを今でも覚えている。


抑えるべき点はいくつかあった。


ショートドラマだから始まり方がインパクトあるやつがいいとか。


でも、それくらい。


芸能事務所に勤めていた時から歌詞はいくつも書いてたから「誰かになりきって心情を表現する」というのは慣れていた。


だから今回もそのやり方で進めればいいんじゃないか?と考えたのは脚本を書き始めて2日目の夜のこと。


目を閉じて少し考えると二人の天才が男を落とそうとしている情景が浮かんできた。


でもこれ戦わせちゃうと作品長くなるし、かなり緻密に構成考えないと現実の天才の方々から笑われちゃう。


だから共闘させることにした。


二人で一緒に男を落としにいく。


でもそこには理由が必要で、結局どっちが男と結ばれるのかが大事で…


そんな具合で色々な設定を作り脚本を構成し終えた頃には朝の5:00になっていた。


結局その脚本が使われることとなった。


そりゃもちろん細かい修正はいくつも重ねたけど、大枠は変わってない。


初めて書いた脚本ということもあってそれが使われたのは単純に嬉しかった。


質はまだまだだけど、初回にしてはまぁまぁなのかな。


とりあえず脚本はできた。


でももう少し面白くしたい。


何か最初に視聴者の目を引くものはないだろうか。


脚本の中では被り物を被った女性が一人で立っているところからスタートするのだけれど、ここでインパクトを持たせたい。


とりえず備品を買いにドンキへ行った。


インパクト…インパクト…


見つけてしまった。


「パンダだ。」




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代表 奥田



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