・響け！ユーフォニアム誓いのフィナーレ

Q.作中では「黄前相談所」として、久美子が相談を受けるシーンがありました。

ご自身として久美子に相談してみたいことはありますか？

安済知佳；３年生になったあなたたちの物語を生きたいんだけども、どうしたらいいですか？

ここでフィナーレなんて悔しくて死にそうです。

（プログラムより）

観たのは４月だったんですけど、劇場版のプログラムを観てから投稿しよう！と思っていたらこんな時期になってしまいました。

１時間半くらいで読めたのにね。

いや、あの面白いんですけど、全然「フィナーレ」じゃなくない？

月永求、放置されたままだったし。

まあKanonも「茜色の終曲（フィナーレ）」が最終回じゃなかったから別にいいのか（？）

正直に言うと、期待値が天井知らずまで上がっていたので、今まで見たすべてのアニメの中でぶっちぎりの一番になってくれるんじゃないかと期待していたので、がっかりした面もあります。

これは本当に自分以外の人間には知ったこっちゃねえよって話なのですが、ちょうど３年前「たまゆら卒業写真」四部作が終わって以来、ボクは強烈な喪失感にずーっとさい悩まされていて、このシリーズは自分にとって、強く生きるためのよすがと成りうるのではないかと強烈な期待を寄せていました。

「第三部-憧れ-」を観たあの日視界に焼き付いた、上映が終わっても座席から立ち上がれないままうずくまる観客たちが、視界いっぱいに広がる光景。あのような奇跡を再び見られるのではないかと期待していました。が、正直そこまでではなかった。

ただ、本当に救いだったのは、タイトルに反して明らかに更なる続編を匂わせて終わらせていたこと。古今東西「ファイナル」とか「最終章」と銘打ったものがそのまま終わった試しはないですし、久美子たちが最高の布陣で全国金賞に挑む最後のチャンスに、ボクの生きがいを託したいと思います。

いやしかし、久美子の中間管理職ぶりは見ていて胃がキリキリしました。

低音パートの１年が本当に曲者しかいなくて……。ある種の汚い性格した久美子と、久石奏とかいう全部見透かしてくる後輩のやりとりは、いわゆる「しんどい」「感情になる」という言葉の意味を学ばされました。

ようやく気が付きましたが吹奏楽部の彼ら彼女らは、実力に比例して面倒くさい性格してるんですね。その極地が田中あすかなわけですけども。

あと鈴木美玲は素晴らしいヒロインでしたね。８頭身ある冴えたいでたちの美少女なのに、微妙に制服の袖が余っているのが初々しくって、声も少年のように低くって……。「宇宙のステルヴィア」の栢山晶に対しても全く同じこと言ったけど、全く対照的なキャラクターを傍に配置して特徴を引き立たせるという作法には、あざとさを感じます。そのあざとさが心地よいわけだがな！

ただやっぱり尺が足りなかった。演奏シーンがあんなに長くて100分って。

麗奈との大吉山でのやり取り、塚本とのあがた祭りでのやり取り、新３年生たちの見せ場など、大事なものは変わらずぎゅっと詰め込まれていましたが、こちらは「中川ー！」「吉川ー！」などと一人脳内応援上映したくなるくらいに、ぐっと昂った感情なのに、それを消化する前に次のシーンに移っちゃうんでなんとも……。

あとやっぱり麗奈が滝先生を好きって話に何にも動きがなかったのはな……割愛されてしまったんでしょうか？かつて「届けたいメロディー」のプログラムで安西知佳さんが「普通の女の子としての麗奈を見て欲しい」というコメントを寄せていましたが、今作でもストイックではあるものの、わりかし普通の女子高生という印象を受けました。

そうは言っても、関西大会の結果発表のシーンは、何となくオチが読めていたにもかかわらず、心が打ちひしがれました。まあ３年生があんだけ層が薄かったら負けて当然ですよね。自分も吹奏楽部の一員として舞台袖で見守り、観客席で祈っているかのような錯覚がありました。完全に画面の中に入り込んでいましたもん。中川が泣き崩れる吉川を支えるシーンの後、吉川が笑顔で部長として最後の挨拶をするシーンは、彼女たち３年生の成長を確かに感じさせる美しい光景でした。

三年になった黄前久美子は、完全燃焼できるのでしょうか。

加藤葉月は、果たしてレギュラーになれるのか。

二年になった久石奏は、どんな振る舞いを見せてくれるのか。

月永求は、どんな波乱を呼び込んでくれるのか。

そして、まだ見ぬ一年は、果たして―。

原作の「決意の最終楽章」前編が今年の４月、後編が６月発売ということなので、映像化は早くて来年2020年の末くらいになると思うんですよね。それまで頑張って生きて、出来れば原作の小説も読みたいと思います。

「劇場版 響け！ユーフォニアム 誓いのフィナーレ」感想

「劇場版響け！ユーフォニアム誓いのフィナーレ」感想