単行本を1000冊買わせてくれ!「ぼっち・ざ・ろっく!」に救われた話 | まぶたはともだち

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最近はプロ野球もお熱です。

・ぼっち・ざ・ろっく! #1

ついにこの時がやってきました。大本命の発売日が。

イチ推しなんて言葉じゃとても足りない、百回推してもまだ余りあるくらい大好きなマンガです。

 

と、いうわけで早速秋葉原に出向いて買ってきました。

18冊買いました。

アニメイト、とらのあな、ゲーマーズ、メロンブックス、ブックファースト、COMICZINで各3冊。

あとKindleでも買ったから19冊か。

ワンダーグーってところが売り切れてたので、これでも予定より3冊少なく済みました。

 

メロンブックス限定版3冊と通常版15冊で総額18207円のお買い上げ。

こんだけ買って打ち切りになったら俺の負けですわ……

 

 

連載が始まってからというものの、きららMAXのアンケートは毎回1位をこれにしています。

アンケートを出し忘れた直後に連載が終わったら、それだけで一生後悔すると思うので。

 

今「きららベース」で振り返り連載をしてるんで、先にリンク貼っておきますね。

ギターだけが取り柄の、卑屈でコミュ症な女の子・後藤ひとり(通称・ぼっち)。彼女は高校デビューにも失敗し、クラスでも孤立する日々を送っていました。

そんなある日の放課後の公園で、彼女は背負っていたギターに目を付けられ、ドラムの少女・伊地知虹夏に話しかけられます。虹夏が頼み込んできたのは、「バンドのギターが急に抜けてしまったので、今日これからライブハウスで一緒に演奏してほしい」という無茶ぶりでした。

動画投稿サイトでは「弾いてみた」でチヤホヤされている、かなり上手いはずの彼女でしたが、ステージの上で他人と合わせるのは全く勝手が違い、空回りしていくばかり。しかし七転八倒、いや百転百倒くらいしながらも、彼女はミュージシャン、そして「結束バンド」の一員として少しずつ歩みを進めていくのでした。本当に牛の歩みだけど……。

【左上】ギター・喜多         

【左下】ギター・後藤ひとり(ぼっち)

【右上】ドラム・伊地知虹夏

【右下】ベース・山田リョウ

 

(全ページ雑誌から切り抜いてスキャンしたうえで保存しています)

リョウに惚れ込んでいる陽キャオブ陽キャの喜多さんについても語りたいよ~

 

 

始まったときは「やべえ!これはポストけいおんだ!」ってめっちゃはしゃいでましたけど、まさか直後にけいおんが復活するとは思わんかったよね。でもこの作品の存在意義が薄れたとか、そういうことは決してないのです。

 

生まれてこの方、ボクは音楽を聴くことが全くありません。紅白すらもう何年も一秒も観てないですし。強いて言えば「伊集院光 深夜の馬鹿力」の替え歌コーナーくらいでしょうか。ひでえな。

登場人物のモデルとなっているらしい、アジカンと言われても「僕だけがいない街」のOPしか分からないし(これマジで殺されそう)、尾崎世界観と言われてもヤクルトが優勝したときに週刊ベースボールに寄稿してて、「やっぱヤクルトファンって変わったやつしかいねえなあ」とか思ったくらいです。最近は小説とか書いてるんでしたっけ。

 

 

本作の特長として、文脈抜きでインパクトのあるコマを挙げないわけにはいかないでしょう。

その大半は、ぼっちちゃんの顔芸で成り立っています。

第1話ではまだちょっと人見知りというだけで、人前に出なければ美少女ということで十分カバー出来てたぼっちちゃんですが、次第に思い込みの激しさやコンプレックスがインフレ(デフレ?)。

 

(第1話)

 

(第2話)

 

(第3話)

 

本連載が始めるころにはささいなことにプレッシャーや劣等感を感じ、顔の造形が抽象画のようになることが増え、「ご注文はうさぎですか?」や「きんいろモザイク」が並ぶきららMAXの中で異常な存在感を示すようになっていきました。

 

(第6話)

(第8話)

 

(第10話)

 

 

(第14話)

もう原型とどめてないんですがそれは……っていうかパリピィィィって何?

 

ここ最近は、自分の部屋で一人でいるときさえ顔が死んでいるシーンが目立つようになっていて、冗談抜きで「なんらかの高揚作用あるクスリを処方した方が良い」とまで感じるレベルになっています。

忘れそうになるけど彼女、ネットの世界ではそれなりにチヤホヤされてるんだよね?それでこの卑屈さは……。

(第1話より)

チャンネル登録者3000人はすごい

 

 

ただ他ならぬ作者、はまじあき先生もすさまじく思考が陰惨なんですよね。ここであげつらうのは止めておきますが。

いやこれ流石にこういうキャラで通してるだけだよね?と思いつつ延々と過去のツイートをさかのぼってたら、6年前に艦これの山城の絵を何回も描いてた形跡が発掘されて「あっ……(察し)」ってなりました。不幸型はアカン。

 

扉絵のジャケットやPVのパロディも、元ネタが分からないけど楽しい。

はまじ先生自ら答えを紹介してくれたり、まとめているサイトもあるので検索検索

 

 

まあとにかく、ぼっちちゃんというキャラクターを通じて、生き辛いっていう感情や不安感や劣等感を、ここまで共感性とユーモアを交えて描いているのは流石です。

かつて大槻ケンヂが若い時分にピンク映画を見まくっていたことについて、「ピンク映画は絶対に濡れ場を出さなければいけないけれど、裏を返せばエロさえあればあとは制約なく書けるので、時々強烈な才能と出会える」というようなことを仰っていましたが、萌え4コマも似たようなところがあるのかもとさえ思いました。

読者のニーズを鏡のように映し出して応える作家さんも大勢いらっしゃいますが、本作の場合においては可愛い女の子を出す、という縛りが逆に表現の幅を広げ、唯一無二のセンスが発揮されている気がします。

 

昨今は老若男女問わず、自分に自信がない方がかなり増えていると思うのです。

ボクも医者から「劣等感が強すぎて今すぐ自殺してもおかしくないレベル、まあ中性脂肪の方がヤバいけど」と診断されているような人間ですから、彼女の一挙手一投足がどうしようもなく心に突き刺さるのです。

(第10話)

(第13話)

この妄想シーンはマジでシンクロ率400%超えた

 

 

いっそ何も出来なければ、ひきこもったまま全てに幕を降ろすこともできたのかもしれない。

しかし後藤ひとりという少女には、ギターがある。一芸に秀でているという、ある種残酷な救いがある。

漠然とした生きづらさを抱えたボクたちにとって、彼女は、この作品は「可愛い」「面白い」「応援したい」の3つの感情を突き動かしてくれる、まこと稀有な存在であり、本当に語りつくせない魅力を抱えた傑作だと思うのです。

タイトルに書いた通り、このマンガを読むこと自体が救いです。彼女がもがき苦しむ姿に勇気をもらい、自分が頑張る推進力に変えられるのですから。

 

 

なんのかんの言ってストーリー自体も先が読めず、熱さがあります。

主人公にとって、学校に行くことや他人とコミュニケーションを取ることすらそれなりに大変なわけで、毎回逆境を乗り越えるカタルシスがあるとも言えます。

(第5話)

これマジで笑えないんだよな

 

1巻のクライマックスの演奏シーンは、息をのむものがありました。

可愛いだけでも、ましてやウジウジしているだけでもないのです。

彼女たちなりの夢、希望、そして青春が確かにあります。

 

 

思い返せば、本作が初めて掲載されたのは昨年の2月号。

当初は3か月限定のゲスト読み切り、という形でした。

1話8ページという原則のあるきららでは2、3回集中掲載して、その反響を見て本連載にするか決定する、というのはごく一般的なことです。だけど、ボクは1話の地点で「これは絶対にいける」と確信を抱きました。

 

本連載昇格後も掲載順位は常に上位につけており、最新号では単行本発売を前にして初の表紙&巻頭カラーを獲得。

5冊買った

 

単行本が出る前に表紙になる。これは「カレーの王女さま」という作品以来、7年ぶりの快挙です。

ただカレーの王女さまは2巻で終わっているので、まだ油断は出来ません。

 

本日の記事のタイトルの通り、単行本を1000冊(約86万円)買っても良いというのは心の底からの本音です。

まあ置く場所ないんで、そのまま980冊くらいは捨てることになりますが……。

仮に「お前が86万円払えば、3巻を出してやる」と言われたら、ボクはよろこんでキャッシュカードを差し出します。

それ以上は要相談です。小林宏之編集長、見てるか?

正直、このマンガに恋焦がれるほどに、他人に面白いと言ってもらえる自信がなくて、だから買ってくれ、という言葉が出てこないのです。

だからそのぶん、ボクに買わせてください。

 

編集部がTwitterでLINEスタンプよろしく、印象に残るコマをたびたび配布しているので、タイムラインにたびたびコマが流れてくることもあります。

しかし、なんのマンガか知らないけど見かける画像なんてのは、インターネットの世界にはごまんとあります。ここから全てをなげうってでも、「イキってすみません……」を「がんばるぞい!」と同じ土俵まで持ち上げなくてはならないという強烈な使命感。

いや、自分に出来ることなどたかが知れていますが、というかそもそも自分の感性がどこまで周囲に通用するか自信など全くありませんが、ボクは本気で応援させていただく、という気持ちをもってして締めくくろうと思います。

いつか自分がイキるその日まで……!

 

 

 

 

【追記】

2巻の感想はこちら!