高校1年生の頃、後ろの席の女の子が毎日1時間に1回消しゴムを転がしていた。


またかよ・・・と思いながら拾い、手渡すと小さな声でありがとうと言われた。

他の人にはごめんね。なのに、なぜ俺だけありがとうなのかを理解しないまま。


選択授業(美術or音楽)で何を選ぶかしつこく聞いてくる女子がいた。


合唱がある音楽に興味あったが、

リコーダー🪈が苦手なので美術を選ぶと応えた。


美術室に行くと後ろの席の子とその女子が仲良さそうに話していて、友達なんだと知った。


珍しく後ろの席の子に、美術好きなの?と話しかけられ、楽器苦手だし、歌は好きだけど声が高いから恥ずかしくてと答えた。


なぜか、にこにこで、へぇ~と言われた。


沈黙に耐えられず、近くの男子が中学時代美術部だったらしいよ?とその子に教えると、


その男子から、言うなよっ!と、強く肩を叩かれた。


コイツ後ろの席の子が好きなんだと察し、その子にはなるべく話しかけないようにした。



それから数日、ホームルームで学校祭の出し物について話し合いが行われた。


その子がファッションショー(各クラス1〜2名が手作りの衣装を身に着け、ステージでランウェイみたく歩く母校の恒例の出し物)でクラス代表をやると自ら手を挙げた時から、パタッと消しゴムが転がらなくなった。


ファッションショー本番、その子が一瞬笑顔でこっちの方を見ながら手を振った。


誰に手を振っているんだろう?


と俺は後ろを振り返ると、


小さな子供が手を振っていたので、ちびっ子にファンサービスするなんて優しいなと思った。



高3の学校祭当日、高2で退学してしまった後ろの席の子が、赤ちゃんを抱っこして突然現れた。


大きな音がスピーカーから聞こえ泣き出してしまった赤ちゃんを、その子と仲がいい女子みんなであやすが全然泣き止まない。


すると忙しく通り過ぎようとした俺(生徒会やってました)にその子が、お願い抱っこして?と赤ちゃんを俺に近づけてきた。


仕方なく赤ちゃんを抱っこすると、なぜかピタッと泣き止み、俺の小指を小さな小さな手でギュッと握った。


その光景をみて泣いているその子に俺は、


泣くほど嬉しいとか、よほど夜泣き大変なんだねと話しかけると、なぜか大笑いされた。








他人の血が半分入っても、親子揃ってコイツが好きなのかよ・・・


というツッコミに気付かぬまま。