昨日、川勝平太静岡県知事が県議会議長に辞表を提出し、15年にわたる“川勝県政”に終止符が打たれることになった。というか「自ら終止符を打った」と言ったほうが適当かもしれない。自業自得で、これまで何度となく指摘された自らの発言が引き金になりました。

 

私は県知事選挙において、何度となく川勝氏を応援してきましたし投票の呼びかけもしました。町や地域の要望もしてきました。それがこのような形で退陣することについて大変残念ですし、また同時に申し訳ない気持ちでいっぱいです。有権者の皆様を失望させてしまったことお詫びしなければなりません。

 

もともと大学という上下関係が厳しいところ、とりわけ教える側、教えられる側の分け隔てはかなりのものがある社会から来られた方だけに、自らの考えや発言には自分自身が太鼓判を押していたところがありました。それが4期目になってごねやへ理屈が垣間見えてしまった。

 

昨日も細川ガラシャの辞世の歌や西郷隆盛の漢詩を吟ずるなど、そのスタイルを最後まで崩しませんでした。それが良いにつけ悪いにつけ“川勝スタイル”なのですが、長く同じ地位にあると悪い方に出過ぎてしまいました。今回のリニア問題についても、南アルプスの自然を守り水資源を守ると言って4期目当選したのですから、その姿勢を貫けばよかった。

 

しかし、だんだん外堀が埋められる形になりました。つまり、静岡工区を残して他の区間が予定通り目処が立ち、トランプの七並べで「ここ止めてるのだーれ?」となったのです。必然的に知事、県政に冷たい視線が注がれるようになった。一方、コロナ禍でリモート化が進み、そもそも移動することへの疑問符があった前回選挙と変わり、コロナが明けて超高速鉄道への期待度の高まりが世論にあらわれた気がします。

 

ちなみに、私が小学生のころ、社会科見学でリニアの実験線を見に行ったのを覚えています。もうかれこれ50年近く前。あのとき、裏が磁気になっている薄っぺらい切符をお土産にもらって「将来の切符はこうなる」と聞いたときは「へぇ~~」とみんな驚いたものです。切符はとっくにそうなりましたが、リニアはまだ先になりそうですね。

 

いずれにしても 旗揚げから失脚まで、この15年で領民(と言ったら怒られるか)を歓喜から失望におとしめた殿様は静岡を去るのです。