東伊豆町議会 総務経済常任委員会では、一次産業の事業継承・後継者問題について所管事務調査を実施しました。これは、コロナ禍で疲弊した町内産業の聞き取り調査の延長上にあるもので、農業者、漁業者のアンケート調査においてもコロナ禍の経済的な影響が明らかになりました。当委員会では、特に後継者問題に着目し調査することになりました。

 

アンケート結果において特に注目されたのが、後継者の有無で農業者においては、対象17軒のうち「いる」の回答は6軒、「いない」が11軒でした。また、漁業者においては対象15軒のうち「いる」の回答は0軒、「いない」が10軒でした。公的な調査結果(農林業・漁業センサス)については以下をご参照ください。

 

漁家数においては、平成25年から30年までの5年間に22戸減少し(減少幅は27.8%)、就業者数も107人から64人と大幅に減少した(減少幅40.2%)。

農業を生業としている農家のうち、後継者を確保している割合は18.5%で、全国や静岡県の割合より少ない。

漁業においても残っている漁家50戸のうち、後継者を確保しているのは9戸でその割合は18.0%になっている。

 

町の担当課からの聞き取りによれば、農業についての後継支援の補助金は「経営継承発展等支援事業補助金」「農業次世代人材投資事業補助金」などがあり、町も補助的な支援を行っています。漁業については「経営体育成総合支援事業」があります。いずれも担い手の確保と育成事業です。国県の補助金の採択は計画重視で、事業について明確なビジョンを持つことが大切であるとの説明がありました。

 

実際に事業者からの声を聞くべく、農業漁業者との意見交換会をそれぞれ実施しました。ぽっと来た移住者がすぐに仕事ができるかというと難しいところがあり、それは一次産業の特性でどの地域でも多かれ少なかれみられる状況と思います。助成制度や公的機関がきちっと仲立ちする必要が出てきます。こういった本質的な課題を克服していかないと後継者問題の解決も見えてこないでしょう。

 

 

そして、もっと切実な問題が収入面での不安です。苦労が多い割には収入が少なく、農業ではそれぞれの規模が小さく競争力に乏しい現状にあり、労働力不足の問題も抱えています。漁業は長引く黒潮の大蛇行の影響やキンメ漁における食害に苦慮することが多く、伊豆漁協の建物の老朽化で競争力が低下しつつあります。また、燃油や資材等の価格高騰は、個人事業主の経営能力の範疇を超えています。

 

こういった課題に対し、委員会として報告書を作成して提言していきます。