~乳幼児の貧血について~
小児科医師 水上 都
意外に思われるかもしれませんが、乳幼児期は鉄欠乏性貧血の好発時期です。
鉄は体内で合成することができないので、赤ちゃんは胎内でお母さんから鉄を受け取り、ある程度体内に蓄えてから生まれてきます。
その後は蓄えた鉄と母乳やミルクから摂取した鉄を利用していきます。
しかし、生後6ヶ月頃にはこの胎内で受け取った鉄の蓄えが枯渇してきます。
乳幼児期は身体は著しく成長し、その成長で鉄は使われますので簡単に鉄が欠乏しその結果貧血となってしまいます。
(赤血球は身体中に酸素を運ぶのが仕事ですが、酸素を運ぶ際には赤血球中の「ヘモグロビン」というタンパクに酸素をくっつけることで運びます。鉄はこのヘモグロビンの材料なので鉄不足→ヘモグロビン不足→身体中の酸欠状態となり、これが貧血です)
①早産のお子さん
②出生時体重が2500g未満のお子さん
③離乳食があまり進まない、量をあまり食べないお子さん
などは特に鉄欠乏性貧血のリスクがあります。
乳児は貧血の症状が乏しいことも多いですが、青白い皮膚の色、スプーン爪(反り返った爪)は貧血のサインであることがあります。
乳幼児期の鉄欠乏は、長期的な中枢神経系の発育・発達に影響を与えると言われていますので予防が大切です。
鉄分摂取を意識した離乳食の進め方については各区の保健センターで相談が可能ですのでぜひ利用してみてください。
もしお子さんが貧血ではないかと不安に思われた場合は、小児科フォローアップ外来を受診してください。貧血かどうかは少量の採血で診断可能です。
鉄欠乏性貧血を認めれば鉄剤のシロップを内服します。離乳食が完了するまで飲んでいただくことが多いです。
予防接種などで小児科を受診していただいた際に、顔色不良などこちらが気になる症状を認めた場合は、貧血の検査をご提案させていただくことがありますのでよろしくお願いします。