料理を作ると決まって味の文句をいう。
砂糖と塩を入れ間違えたわけでもあるまいし、毎回文句が多すぎるのだ。
私はどちらかというと薄口派、彼は濃い口。
味付けが薄かったり、調味料の配分にいちゃもんをつけ、しまいには自らその料理をキッチンへもっていき、味付けのやり直しまでしているから腹立だしいとしか思えない。
決してまずいわけではない。
思いやりさえあればそのまま文句を言わず食べてくれるのが普通だろう。
彼の言い分はこうだ。
「どうせ同じ料理を食べるなら美味しく食べたい」
とのことだ。
では、自分で作ったら?と
毎回ケンカになる。
ある日、オイスターソースの炒め物を作ったときのことである。
「なんだよこの変わった味は?」
とほとんど手をつけなかった。
味覚の狭さに驚かされる。
次第に、台所へ立つことに毎回嫌気がさすようになった。
カレーは母ちゃんが作ったものしか食べない
作り方教えてもらってこい
カレーはカレー粉のメーカーで味が多少違うから、彼のお母さんに聞けば作れないことはない。
そのカレーの作り方とは、バーモントカレーの甘口だった。
それに加えてさらに砂糖を入れるらしい。
何ともお子様向けの味。
これなら簡単に作れる。
それから、大好きなラーメン屋があるらしい。
それは長く育った地元のラーメン屋なのだが、全国で一番好きだと何かにつけて言うので、
いろんなラーメン食べたことないくせにと思いながら、
とんかつも同じことをいう。
どんなに他で食べても、○○というとんかつ屋が一番美味しいと。
どこ?
と聞くと、やっぱり地元のお店だった。
要するに、お母さんのカレーやラーメン、とんかつにしても、
食べなれた味が好き。
味覚が狭い男なんだなとつくづく思う。