群 [0006] 群の公理 | かじきよし

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「数学を楽しむ」「健康」が,私の人生の二大目標です.

 今日も,ありがとうございます.
 
 
 以前,

線型空間は群をなす
実数全体の集合Rは群をなす

ことに触れました. → こちらへ

 今後,線型空間や実数を扱っていく機会は多いと思います.

 その際,群ゆえに成り立つ性質を,線型空間でも示し,実数でも示し,となると二度手間になってしまいます.

 そこで,線型空間,実数は置いておいて,まず,群ゆえに成り立つ性質をさらっておきたいと思います.
 ここでさらった性質は,線型空間でも実数でも成り立つことになります.


 今回は,「
群の公理」を紹介します.
(【参考】「
二項演算」の定義は, こちら
 

 

 

 今回は,松坂和夫『代数系入門』(岩波書店) p.045 を参考にしました.

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 次回は,乗法群に関する極めて簡単な問題を出題します.


 今日も,ありがとうございました.


【TeX source text】以下は読まなくても結構です.
\documentclass[a4paper,12pt]{jsarticle}
 
\pagestyle{empty}
 
%%%%%%    TEXT START    %%%%%%
\begin{document}
 
\noindent
\textgt{【群の公理】}
 
$G$ を空でない集合,$*$ を $G$ の二項演算とする.
次の \textbf{G1},\textbf{G2},\textbf{G3} が成り立つとき,
$(G,*)$ を \textgt{群}(group)とよぶ.
\begin{itemize}
\item[\textbf{G1}]
 $*$ に関する \textgt{結合法則} が成り立つ.
 
\medskip
 
 すなわち,任意の $a,b,c\in G$ に対して,
\[
(a*b)*c=a*(b*c).
\]
 
\item[\textbf{G2}]
 \textgt{単位元} $e\in G$ が存在する.
 
\medskip
 
 すなわち,次をみたす $e\in G$ が存在する:
\begin{quote}
 任意の $a\in G$ に対して,
\[
e*a=a*e=a.
\]
 
\end{quote}
 
\item[\textbf{G3}]
 任意の $a\in G$ に対して,その \textgt{逆元} $a^{-1}\in G$ が存在する.
 
\medskip
 
 すなわち,任意の $a\in G$ に対して,次をみたす $a^{-1}\in G$ が存在する:
\[
a^{-1}*a=a*a^{-1}=e.
\]
 
\end{itemize}
 
\bigskip
 
\noindent
\textgt{【注意】}
\begin{itemize}
\item
 通常は,特に必要がない限り,群 $(G,*)$ を単に $G$ と略記する.
 
\item
 $a,b\in G$ に対して $a*b$ を $ab$ を書く場合,群 $G$ は \textgt{乗法群} とよばれる.
 
 今後の一般論においては,記法を簡単にするため,乗法群を取り扱うことにする.
 
\end{itemize}
 
\end{document}