ここ2年くらいでしょうか、これまで私が経験したことがない勢いで母乳率が下がっています。

いろんな要因があると思うのですがその一つに、
育休中のパパが夜の授乳を担当して、その間ママは寝て休む、という傾向があるようです。
パパを応援したい気持ちが強い者としては、この傾向は否定したいのですが
大変残念なことに実感することが多くなっています。

ママを休ませてあげようというお気持ちからだと思いますし、そのパパの気持ちは大いに有難く大事にしたいです。
ビン哺乳するのも楽しいでしょうし、育児に積極的なのは素晴らしいことに違いありません。
しかしながら、母乳育児的には全く逆効果なのです。


母乳は夜間の方が分泌が良いので、授乳せず貯めたままにすると乳房トラブル(乳腺炎・つまり・乳房乳頭痛など)の大きな原因になります。
また夜間授乳しない分、直接授乳の回数が減るため、母乳の産生にブレーキをかけることになります。
つまりママが夜間、母乳を直接授乳しないと、乳房トラブルや母乳分泌不足になりやすいということです。
実際このパターンで、授乳が思うように上手くいかないとご相談に来られるケースが出てきました。

特に出産直後から3,4か月健診くらいまでは、どれだけの回数母乳を直接授乳できるかが重要で
これがスムーズにできるかどうかが、母乳育児が早い段階で軌道に乗るポイントにもなります。


搾乳ではどうかという話にもなるのですが、起きて搾るくらいなら赤ちゃんに飲んでもらった方が早いし有効です。
それでも夜は寝られた方がいいし、パパが育児に関われた方がいいし、
また結果トラブルが続いたり母乳分泌不足になったりして、
そこまでして母乳で育てなくてもいいじゃないかということで、完全人工乳になる、
そうした傾向が増えてきている気がします。。
母乳育児支援者としては哀しい、悔しい現実です。

産んだ女性の身体は、その女性から産まれた赤ちゃんに合うオーダーメイドの母乳が出るようにできていて、
それは絶対に人工乳にはできないこと。
母乳育児は単なる栄養だけではない、ヒトの生命を上手く育むための仕組みで成り立つ、
奥深いものであることを知っておいていただきたいと思います。

できましたらお父さんになられた際には、
率先して哺乳瓶で人工乳を与えるパパではなく、
母乳で育てるママと母乳で育つ我が子を、スマートに支えるパパであってほしいと
切に切に願います。

夜間授乳を替わるのではなく、夜間母乳を続けられるようなサポートをパパの役割にしていただきたい。
例えばママは母乳を飲ませるだけですぐ休んで、パパが排気やおむつ替えをするとか、
ママが夜間に備えて、日中の休息を十分とれるようにするとか。
つまりそれは、母乳を与える以外のこと、
食事作り(献立、買い物、調理、片付けすべて含む)、掃除、洗濯、家事全般、
赤ちゃんのお風呂(準備から片付けまで)、おむつ替え、抱っこ、排気などなど、
すべてやるということになります。
夜間授乳を替わるよりずっとずっと大変だと思いますが、やりがいがあると思います。


特にはじめは頻回授乳で、胸をしまう暇もないほどの時期があります。
ママは授乳、飲食、排泄、入浴、といった最低限のことだけで精一杯ですし、
産後の心身の回復を考えると、それ以上の活動はしてほしくない、
それくらい消耗している、と理解していただいてもいいくらいです。

女性は己の身を削って妊娠し産んで母乳を出して、新しい命を守り育むようにできています。
そのため強くできていますが、非常に不安定でもあります。
それを安定させて健やかに導いていく、つまり母子の健康と笑顔を守る、その家族における父親の重要な役割だと思うのです。
健やかな笑顔で母乳育児しているママ、そんなママをスマートに支えるパパを
赤ちゃんは大好きになるはずです。

もちろん、必要な場合は人工乳は必要ですし、いわゆる完ミを否定しているわけでもありません。
ようやく父親の役割が仕事から家庭に戻ってきた時に
同時に母乳育児が否定されていくようで、
困惑と危機感を覚え、述べさせていただきました。