前回、

「もっと早いやつら」を

ご紹介しますと

言っちゃいましたが、

さて、誰から始めましょうか?



とりあえず

この人、

ジョン・レンボーン。

ギター(弦楽器)の露出が

より明快だったので

このアルバムを店に展示しました。





が、たとえば初期の下のアルバムに

「Trane tune」という

インストゥールメンタル・ナンバー(楽器だけの演奏曲)

があります。

汽車が動き出して、速度を増し、

トンネルをくぐったり、鉄橋を渡ったりして

また、速度を緩めて止まるまでを

ギター1本で見事に表現しています。





彼の親友に、バート・ヤンシュという

ギタリストがいます。

バートの初期のこのアルバムには

「The wheel」という

インストゥールメンタル・ナンバーがあり

ギター1本で、

轍が速度を変えて回転し、止まるまでを

表現しています。


つまり彼等は

「早い」というよりも

「早くも」弾ける、

つまり演奏速度のギアが自在なのですね。






で、バートとジョンが

2本のギターで演奏している

このアルバムは

ジャケットのフォトが象徴するように

まるで、音のやり取りが

囲碁を楽しむように

奏でられています。

しかも、かなりのハイレベルで。






もともとこの2人は

ペンタングルという5人組の

英国フォーク・グループのメンバーです。


フォークといっても

中世宮廷音楽からブルースや

様々な民謡・伝承音楽など

取り扱うジャンルは多彩で

一般に、ブリティッシュ・トラッドと

呼ばれています。

というより

彼等がこのジャンルを

切り拓いたというほうが正確です。







一方、米国フォークも盛んですが

このデヴィット・ブロムバーグも

代表的なミュージシャンの1人です。


このアルバムには

「ミスター・ボージャングル」という

それなりに知られた曲が収められています。


彼の友人である

ジェリー・ジェフ・ウォーカーが

飲み屋の女の子に声をかけても

知らぬ顔をされるので

彼女の気を引こうと

酔った勢いで

椅子の上に乗って

悪ふざけをするのですが

度が過ぎて

留置所へ

おまわりさんに連行される。

しかも、その女の子は

バーテンダーの嫁さんだった。

とか、

ジェリーの実話を長々と

ギターの弾き語りで間奏に入れて

聴衆を沸かせるライブ録音なのですが、

エンディングに向かう

ピッキングによる

流麗なソロパートは

フォーク・ギターならではの妙味があり

泣かせてくれます。







で、その友人である

ジェリー・ジェフ・ウォーカーも

フォーク・ミュージシャンであり

「ミスター・ボージャングル」とは

ジェリーが留置所で出逢った

愛犬チャーリーを連れた

優しい大道芸人の歌なんです。


つまり「ミスター・ボージャングル」も

デヴィットの弾き語りによる

ジェリー・ジェフ・ウォーカーの話も

いずれも実話なんですね。


で、このジェリー・ジェフ・ウォーカーという人

こんな強面ですが

とっても優しい曲を作るんですよ。


デイヴィットとジェリーの

2人のギター・ワークも自在ですね。

ただし、先ほどのバートとジョンとの違いは

彼等の音楽のルーツが

ブルースとC&Wだということでしょうか。








このアルバムもギターがバッチリ露出してるので

展示してますが、

米国を代表するロック・グループ

ダイアストレイツのアルバムです。

リーダーであるマーク・ノップラーは

名うてのギタリストであり、

このギターは彼の愛器です。





で、マークは

ザ・ノッティング・ヒルビリーズという

バンドもやってます。


一応、メンバーの名前だけ紹介しておきますね。

スティーブ・フィリップス

ガイ・フレッチャー

ブレンダン・クローカー

そして

マーク・ノップラーです。


メンバーは

C&W(カントリー・アンド・ウエスタン)の

重鎮ばかりです。


分かりにくいですが

マークもあの愛器と

他の3人も同様に

映ってますね。

(写真を拡大してみて下さい)

このギター4本合わせると

おそらく相当なマンション買えますね。

…下世話な話になりました。失礼。






4本のギターで

どんなサウンドかと思われるでしょう。

俺が、俺がで歌うのも、

ギターを弾きまくるのも

皆無です。

歌もギターも

優しく見事にハーモナイズされています。

こんな洗練されたC&Wって

聴いたことがありません。


もちろん一般的なC&Wには

魅せ場として

ギターやバンジョーの早弾きが

伴うこともしばしばですが。



かつて東京のとある音楽スタジオで

C&Wのグループに出逢ったことがあります。

時間つぶしに彼等と雑談していると

C&Wの歌詞の要素は3W(スリー・ダブユー)だと

言うんです。

Wine,Weather,Women


その時、米国人にとってのC&Wって

日本人にとっての演歌なんだなって

痛感しました。



で、その続きとして

次の「やつら」が待機してますが…


「もっと早いやつら」の

紹介はやっぱり

まだまだ終わりそうにありませんね。

長くなるので、…


続く。