がんを告知される
人生においてこれに匹敵する衝撃はなかなか無いだろう
だって 思い当るものを考慮しても
入試落ちる
身内の不祥事
会社クビになる
等々あるにはあるが
命に直接かかわることではないので なんとかやりようがある物だ
まあ収入が途絶えるのは相当厳しいけど 気合入れ直して新しい仕事を探せばいいのであって そこから先見通しが立たないほどではない。
がんを告知されると まず 病と向き合わなければならず 見知らぬ敵がすぐ身近にいて今にも自分に襲いかかろうとしているのだと信じる事が まず 大変難しい。
私の場合乳がんで これまた自覚症状のないがんであることから 自ら触診で疑いを持ち病院に進んで行ったにも拘らず
信じられないそんな気持ちがどこかにあった。
嘘だと 冗談だよと笑ってほしい という唄のような気持ちだ。
生きていく自信をことごとく叩き潰されてしまう。
あれは思い過ごしですあなたは健康ですもう大丈夫 今日から元気に暮らしてくださいね。健康に気を付けるんですよ と言われたら どんなに幸せだろう・・・
もう 最大の努力を惜しまないだろう。
抗がん剤打たなくていいなら仕事してどんどん稼いで家族に楽させてやりたい。楽しい思いをさせてやりたい。安心して遊びに行ってほしい。(まあ ちょこちょこ行くようにはなったけど)
私が病気だからと言って家族にまで不幸を共有させたくない。
(結果としていつかそうなることも十分承知してる)
今現在私の病状がそれほど差し迫ったものではないのも 真面目に抗がん剤治療したおかげだと思っている。
マーカー数値はそれを如実に示している
がんを告知されてから11年目
この先倍は生きなきゃと思っているが経済的にゆとりがなくなれば終わるだろう。
そのとき 家族がそれに対してなんの責任も感じてほしくない
それ以外は受け入れる事にした。無知ゆえの余裕なんかじゃないちゃんとどうなるかいろんな事を知っている。
ガンの痛みも 苦しみも もっと生きていたいと体が叫んでいる証拠
自分の中の原始的な本能のなせる業だ。だが 理性的な自分は知っている。人間は永遠の命を持つことは出来ない。
誰にもこれが来るのだ と。
そういった悟りを持つことに至るまで長い長い時間がかかる
私にはまだ悟りへの道は遠く 行きつ戻りつしている。
嫌で嫌でしょうがない。
が 頭では理解している。
泣き暮らすのも時間がもったいないからそういう心境になったら 我慢せずいったん気持ちを爆発させる。
悪態ついて 泣くだけ泣いて 大声で歌って お腹いっぱい食べて そして寝る
大騒ぎしてから眠る。
そのうち 涙も乾く
ああ自分まだ生きてるわ~と思う。こんなに大暴れするくらい生きている。体力気力が残っている。現在と将来で混乱してはいるが現在の自分がちゃんと生きて行かなければ将来の自分はもっと厳しい事になる。
私の中にフリーチャイルドがいて 刹那的で誰とでも仲良くしたいし自由に生きていきたいし 決まり事を無視してもやりたい欲求がある。
そのたずなを握っている先生のような自分もいる。こうすべきですよ それはいけません。大人のするべきことではありません。
欲得で動いている自分もいる
損得勘定ではかったらどうだろうか?お金の価値にしたらどんなプラスがある?
諦めて今の自分がこれ以上上に行けない 出来ない事を受け入れている自分もいる。
全てが本心で 全てを統合しながら矛盾と偶然が自意識としてちゃんと確固とした自分があるかのように行動しているけど 本当の自分はどうなんだろう
誰かを怨み続ける自分 誰かを思い続ける自分 誰かにすがりたい自分 誰かを助けたい自分
いっぱいいるけど
自分ていったいなんだろう?
こんな一見まとも風に生きているこの女は なんてあやふやで
矛盾してて
そこはかとなく恐ろしくて
変な人間
こんな人間が生きてていいのだろうか?
なんで今まで見逃してくれたんだろう?
あ だからなの?だから私がんになったの?いやいや そういう脈略なかったし。そういう被害妄想はおかしいといつもの自分ならすぐわかるのに
その落ち込むさまを自分で滑稽だと思うのに その妄想から離れられない
がんのせいなのに自分のせいだと思う これはロジックのすり替え そういうのはやめようねと落ち着かせる
そして 自分のせいでダメな部分があったらがんのせいにしたらダメだ
真実の時間を大事にするためにこの重い運命を受け入れなくてはいけないのだ。がんは人生に限りがあり 大切にしなければいけないことを教えてくれる。
今までしくじった事 あれやこれや思い返す。そしてしくじるチャンスにも恵まれてたんだと思い当る。やり直せないほどの失敗なんてそれほどなかった。
大変なことほど楽しかった。
辛いと感じたあれやこれや 矛盾だらけの自分が精一杯がんばって決断してまた失敗して
愚痴りながら生きて来れた。
私のくだらない愚痴に付き合ってくれる人がいた。それが本当にありがたい。
今のうちだから感謝したい
私に関わってくださったすべての人に感謝します
まだまだお付き合い頂きたいと思いますが
こうやって 乗り越えてきた