横浜の港に、静かな朝の光が

          差し込んでいた。

その光の中に、にっぽん丸は最後の入港を迎えるため、ゆっくりとベイブリッジの向こうから姿を現した。



濃紺の船体と白い上部が、朝の光を静かに受け止めていた。



それはまるで、「ただいま」と微笑んでいるようだった。


先に大桟橋に着いていたFUJI丸が、深く汽笛を鳴らす。
それは仲間としての敬礼であり、長い航海を共にしてきた者同士の挨拶だった。


にっぽん丸はその音に応えるように
   静かに、しかし力強く汽笛を返した。
港の空気が震え胸の奥まで響く音だった。
その瞬間、涙が出そうになった。
船同士の言葉のいらない会話が、
   横浜の海に溶けていくようで。


翌朝、港はまた違う表情を見せていた。
夜を越えたにっぽん丸は
 穏やかな光の中で静かに佇んでいた。
氷川丸の向こうに見えるその姿は
 まるで「ここで過ごす最後の朝を味わっている」ようだった。
出航の日は仕事で見送れなかったけれど、
この朝の静けさを見届けられたことが、
僕にとっては何よりの別れの瞬間になった。

ありがとう にっぽん丸
横浜の海は、
あなたの帰りをずっと覚えている·········