β-9
目を開ける。俺は、小さな畳の部屋に敷かれた布団の上で寝ていたらしい。周りを伺うと、横に佐々木が座ったまま寝息をたてていた。それよりも、さっき体験した記憶のようなものは何だったのだろうか。夢か、はたまた本当にあった過去なのか…。過去の記憶なら、俺はあの衝撃的な出来事を完全に忘れていたことになる。しかし、夢のような気がしないのだ。
「起きたか…。」
そう呟いたのは、藤原だった。部屋の入り口に立って俺を見下ろしている。
「何だったんだ?今のは…。」
無意識に藤原にそう問うていた。
「さぁな、俺の知ったことではない。ただ、お前が寝ている間にある面白い事実が判明した。」
藤原はそう答えて、数学の難問を証明するかのように自慢気に話し始めた。
「今まで、四年前の時間変動より前には誰も時間遡行できないと言われていたのだが…。先程、お前と佐々木だけは例外で、遡行できる可能性があることがわかった。…そこでだ、お前と佐々木には四年前の時間変動より二日前に時間遡行してもらう。」