人間の背中の中心には、神経が通っている脊髄というものがあります。
脊髄は脊椎という神経管に包まれ、その上を皮膚が覆っています。
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胎児期の3~5週に、胎児の外胚葉という部分から脊髄と皮膚が分離していきます。
この過程でなんらかの異常が起き、脊髄が上手く脊椎に閉じられずに露出してしまう神経管奇形を開放性二分脊椎といいます。
露出してしまった脊髄が袋を作り、皮膚にも覆われずに瘤のようになっている状態を脊髄髄膜瘤といいます。
細菌が入ると髄膜炎になる危険性があるので、出生後早急に脳神経外科医による瘤の閉鎖手術をしなくてはなりません。

一方、潜在性二分脊椎(脂肪腫)と呼ばれるものがあります。これは同じく瘤をつくっているのですが、正常な皮膚に覆われていて脊髄が表に飛び出していない状態です。開放性とは違い幼児期にはあまり症状が見られず、成長に伴い症状が現れるようです。

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脊髄髄膜瘤の合併症としては、水頭症キアリ奇形などがあります。
キアリ奇形とは、後頭部にある小脳や脳幹の一部が頭の骨から脊椎側に落ち込んだ状態をいいます。医学的にはI型~Ⅳ型まで分けられるようですが、実際にはI型、II型がほとんどを占めるようです。症状としては、呼吸不全、嚥下困難(ミルクや唾液が飲み込めない)などが現れます。

そして、脳には真ん中に髄液が循環している脳室があり、キアリ奇形により小脳と脳幹が下がってしまったことで髄液の通り路を遮断してしまい、髄液がうまく流れることができずに脳室に溜まってしまいます。この状態が水頭症です。 そこで脳が圧迫されないように脳内と腹部をつなぐシャントと呼ばれる管を皮下に通し、溜まった髄液を腹部に流して脳への圧迫を除くという、シャント術が多く行われます。

二分脊椎の一般的な症状は運動麻痺、感覚麻痺、膀胱障害、直腸障害があります。
仙骨・腰椎・胸椎などの損傷場所により、症状には重度から軽度まで個人差はありますが下肢障害に対しては車いす・補装具等、また排泄障害に対しては導尿、摘便、浣腸といった対処が必要となります。

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二分脊椎の治療、医療管理には脳神経外科、小児科、泌尿器科、整形外科、リハビリテーション科などといくつもの科に生涯を通してお世話になります。