地面師たち | 愛おしき

愛おしき

本とか歌とかが好きです。
自分には出来ない事が出来る人に憧れます。
よろしくお願いします(´ω`*)

ネトフリのドラマを一気見したので自分用に感想の覚え書き。当然ネタバレがあります。


・殺しの話

にしても、2億の損失で済んだところが112億になったのはやばすぎる。手に入った物が泡と溶けていく、そんなん山中が見にこないはずがありませんね。でも、おそらく「川井じゃないと言え!」のところがハリソン的にはクライマックスだったのでは?死亡の時はもう茫然自失だったものね。死の瞬間を見たかったというより、きたる捜査で関係者の人相とか、情報が漏れないように口封じの意味で殺したのかな?なぜ青柳さんが殺されたのか、ちょっとよくわかりません。


麗子さんは、まだ死体が上がっていないようだったけど、どうなったのかな。もはや殺されていてくれ、とすら思う。女だからもっと酷い目にあっていたのだとしたら辛すぎる。

仕事を終えて手を引いたら殺されるなんて、もう一般の道理が通じない相手すぎる。竹下さんについてはまだ、もはや仕事のパートナーにならないから殺そうとしていた、それで裏切られてあの結末になった、はまだ理屈があるけど、後藤さんと麗子さんはそういう理屈ないじゃん。何かを得るためには何かを失うって、そういう時に使う言葉と違いますやん。足抜けにペナルティがつくとかヤクザだし、ヤクザですらリンチとか指詰めされるって前もってわかるのに、ハリソン山中に関しては足抜けしたあとに急に殺されるんだからやばすぎる。抜けちゃいけないってことが事前にわからないじゃん。いままで一緒に詐欺してきたのにね。情とかないんですね。


あと、下村さんの件、悲しかった。もうダイハードの話が出て、飛び降りろと言った時点で嫌な予感はしていたが、実益を兼ねて趣味で人を殺すハリソン山中、本当に嫌すぎる。


ヒグマと対峙してしまったのが、決定的にダメだったのでしょうね。勝ちを確信したものが、自分の行動によって地に伏している、それに壮絶な快楽を感じてしまった。人間相手に、同じことを繰り返している。そんな印象。

他のメンバーは、強いところと弱いところみたいな、それぞれのルールの中での情があって、人間味があるけど、ハリソン山中だけそれがない。ぶっ壊れている。人として。己の興味、己の快楽、己の損得でのみ動いていて、付け入る隙がない。弱みがない。誰のことも信じてなくて、誰とも同じ土俵で生きてなくて、周りの人間を人間と思っていない。こうして書いてみると、ちょーーーっとMIUの久住を思い出した。犯罪のカリスマってそうなんですか?



・グロの話

きつかったのは、ホストが殴られて嘔吐するシーン、竹下が蹴り殺されるシーン、クライマックスの山中と拓海さんの命の取り合いシーン。


拓海さん、吐くときいつもあまり胃に物がなさそう。液体ばかり。ちゃんと食べていますか?

でもホストの嘔吐シーンでわかったけど、胃の内容物がないから拓海さんのシーンはまだ見れる。ホストは、お腹を殴られて、食べたものが(わりと消化されてもう何食ったかわからないどろっとしたあの状態で)出てきて、無理だった。酔って吐いた時と同じようなもん出てきた。リアルで、ウッてなりました。


竹下が蹴り殺されるのは、あんなん誰でも無理だろ……というグロさ。いや、無理じゃない人も多いのでしょうが、プリミティブでとか言い出した時点でもうダメだ…て思ってたけど、残酷すぎる。骨が砕け肉が潰れて血が飛び散る嫌な音、嫌な音、嫌な音、そして映し出される死体。酷かったですね。それを作り出したドラマ班?は凄いけど、ショッキングだった。

人が死ぬシーンのグロさについては、ちょっと「俺たちこんなに残酷なシーン作れるんですよ」という作り手の自我みたいなのが滲み出てる気がして好きじゃなかった。確かにすごいけど、でもそれって本当に必要ある?みたいな。地上波だとできないことをやってる楽しみじゃなくて、必要性ある?みたいな。まあ実写のゴア表現に慣れてないのでそう思ってしまっただけなのかもしれませんが。


クライマックスは、もう、傷口が痛いって…。また綾野剛が不死身だ……いや死ぬかもしれんこれは流石に……いや刺された傷口を抉るんじゃないよ傷口がぐちゃぐちゃだよ……という気持ち。火事場の馬鹿力も、長くは持たないし何度も発揮できるものじゃない。知らんけどリアリティがありました。

介入してくれた倉持さん、山中に「下村さんなら撃ちましたよ」とか煽られてたけど、多分あれって発砲要件を満たしてないよね。撃たないのがルール上は正解だと思うので、逸脱しなくてよかった。とにかく捕まえて裁いてくれ、と思ってたけど叶わなくて残念。もうひとりいてくれればまた立ち回りが違って確保できたのかな。返す返すも下村さんが殺されたのは無念。


とにかく完走後はグロッキーでした。頭は重だるいしなんか目の奥が痛いし。長時間テレビ見てたからってのももちろんあるけど、グロがきつかった。エロはまだしもグロが…。



・セックスの話

古来より3Pって人余るんじゃね?と言われていますが、6P、人が余りまくっている。やっぱり余るんだ。やることない人、手を握って手にキスしたりしててウケる。本当に暇してんじゃん。挿入してる人と、胸揉んでる人、横からキスしてる人、これくらいでしょ絡めているのは。つまり4Pが役割の限界ってことかな。まあ男性側が多いタイプの複数プレイなので、残機と思えば役割なくて暇してる人もそのうち役割まわってきますが…笑


あと終盤、これがツイッターで感想見たデベロッパーセックスか〜!と思った。愉快。以前、建築業界の人に車に乗せてもらった時に、あそこの建物をたてました、みたいなことを言われたことがあるのでなおさら愉快だった。もうそんなん、土地見ながら自慰せえや。女いらんやん。実際、高い契約の前に股間触ってましたし、女いらんのでしょうね。もう、他社にとられるまえに自社で優良物件を押さえるその土地を巡る"戦争"が一番のエクスタシーなんでしょうね。つまりハリソン山中に一番近い感性を持っていたのは青柳さんということか。



・猫の話

獣医さんを紹介する話はどうなりましたか?!猫の数、ちゃんと減ってましたか?!わからなかった。拓海さんが仲間を相手に約束を破ることはないと思うので、紹介したのだろうが、最後まで複数匹の猫がいたのでちょっと気になるところ。



・知能犯である、という話

中卒ヤクザ下っ端 お前には絶対に無理だよ、地面師にはなれない。残念なんだかそうじゃないんだかわからないことに。ずーーーーっと彼は、頭が良くないことで、場を壊している。山中が拓海さんに「アドリブで」と言うのは、あれ、拓海さんの臨機応変さ、機転を評価してのことだろうけど、学がないとそれが圧倒的に出来ない。ホテルのチェックインに失敗したこと、そのあとオラついて他の客を威圧していること、空港で静かに近づかなかったことで川井さんの拉致に失敗したこと、運転手と揉めて交通事故が起きること、ぜーーーーーーんぶ、言っちゃ悪いけど頭が悪いから起きている。策を巡らすことができない。だから君は地面師には絶対になれない。チャチな犯罪をして、下っ端として使われるしかない。抜け出せない。

置かれた環境を打開する力が教養であり知力だ、と言ってる人がいたね。それがないので、彼はずっとあの環境にいます。

まーーつまりヤクザに回収されるような人間を減らすことが治安の向上につながる。バカにして見下していては、先行きは暗い。



・綾野剛さんの話

確かに本当に良かった。会社員時代、デリヘル送迎運転手時代、地面師ノーマルスタイル、資産管理人スタイル、顔に火傷跡のあるホストスタイル。いろんな経年変化や、拓海さんが別人になるという演技が見れる。意識的に別人になるホスト潜入と、時間を経て人が変わったようになる経年変化と。あとなんか知らんけどサラリーマン時代の拓海さん、まじで若くないですか?数年前の作品で見てる綾野剛さんみたいな感じがしてびっくり。マジで若い。あの髪の長さ×スーツで明るく笑う綾野剛さん、めちゃ好き。あと、ホストのそれっぽさがすごくて笑っちゃった。髪色、髪型、ピアスのセンスの悪さ、襟元がつまり気味のタンクトップにシャツ。歌舞伎町に見事に溶け込んでましたね。

話を戻すと、あとは感情の発露が物凄い。自分の役割に徹しているときの声色、人生が爆発した時の、復讐の声。痛み、怒り、いろんな感情と感覚。だけども総じてみると、拓海さんは静かな人だなぁ。


他人を地獄に叩き落とすことをどう思っていたのかという話、自分の人生から逃げて作り上げた虚構の世界を生きたかったみたいなことも言ってたし、どうも思っていないというか考えないようにしているというか、自分のことだけ考えるようにしてたんじゃないかなぁ。そろそろ法務局から通知がくるというのも、だからしばらくは身を隠すという自分のための情報で、それによって相手の人生が壊れ始めるという、相手側のことを考えていなさそう。

それがハリソンとの大きな違い。壊すための手段だもんねハリソンにとっての地面師詐欺って。

だから紳士ぶっていても胡散臭いのかな。拓海さんの丁寧語喋りは落ち着くのに、ハリソンの丁寧語喋りはただ胡散臭い。内面から獣性が滲み出てしまっていて、紳士然としようとしてるのに、そうなれていないのでは。まあ客観的に見ているからそう感じるだけで、実際にハリソンと向き合ったら紳士に見えるのでしょうか…。

にしてもずっと拓海さんの一人称僕だったのが、最後の対峙するシーンだけ俺だったの、味わい深い。男性の一人称のブレ、大好き。



・詐欺の話

詐欺をいっぱい見たわけだけど、やっぱり人って信じたいものを信じるんですね。途中で何かおかしいぞ?と感じても、まさかね、と打ち消して進んでしまう。石洋ハウスで、チンケな詐欺師がこんな大きな契約を扱うはずがない、と言っていたところなんかも特に。信じたいことがあって、それに合わせて論理を構築してしまう。そういう人間の弱さ、認知の癖をたくみに突いてくるのが詐欺なんですね。

だから無駄に見えてもルールは守らなきゃならない。。社長決済でルール無視して突き進んで、結果として詐欺だったの、本当に見ていて苦しい。


後藤さんの交渉術も本当に見事ですよね。もうええでしょ、でゴリ押すパワープレイと笑ってる感想見たけど、それが通るように最初から威圧していて、緻密な計算の上でのパワープレイでしょあれって。脳筋パワーとは質が違いますよ。取引相手があんなんだったら怖すぎる。体の厚みと高圧的な態度と。自社の上司じゃないけどもあれってパワハラですよね、ちゃんと引かずに自分の仕事をする、騙される側の司法書士の人たち、みんな偉かった…。自分の仕事を全うしていましたね。まあ全部ウソなんですけどね、その書類も証言も…。


竹下さんも仕事はすごかったよね。川井さんを送り返して商談をぶっ壊す計画も手際良かったし。情報を握っている男、強いよ。まあ相手が悪かったのですが。。つーかハリソンはもはや趣味で沖縄来てたでしょ。ホストが殺される前に、あの二人に竹下が接触する時点で止められたのに、あえて決定的な裏切りが起きるまで放置して、裏切りへの対価として原始的な暴力を実行した。もう詐欺計画よりも趣味優先してんじゃん。。まあ竹下さんがぶっ壊してもリカバリーするだろうという信頼があったのか?いや、彼らが捕まっても自分は大丈夫だからやっただけかも。嫌な男。

あとは前評判通り、ヤク中の竹下さん、すっごかった。いろんな調整が機能していない感じ。声の大きさ、発言すべき内容か、前後の脈絡、、、薬キメたら時の北村一輝さん、すっごかったですね。。