「大丈夫、大丈夫。黙っていればわからないんだから・・・」


こう言って、金品を受け持ちの看護学生に用意してくださる患者さんは少なくない。



 こんなとき、どう対応したらいいでしょうか?




その1  そうそう、言わなきゃわかんないんだから、もらっちゃえば?

      そこまで患者さんも言ってることだし・・・断ったら傷つくよ右下矢印


その2  だめだめシラー

      学生はもらっちゃいけないって決まってるんでしょ?

      やっぱり決まりは守るべきでしょ~。


その3  先生もダメって言ってるし・・・

      とりあえずダメでしょむっ





正解(?)はのちほど。

学生はこんな風に対応したらしい。





学生 「いえ、いいです。私たちいただいちゃ、いけないんですよ汗

     学生だから・・・」


患者 「いいじゃないの。小さいお菓子だからちょっと口に入れちゃえば

     わからないから!」


学生 「でも・・・だめなんです。私たち学生だから・・・(*_*)」




何とか忘れ物を取りに戻るということで、いったんナースステーションに戻り、報告に来た。

たまたまその後にケアが入っており、私が一緒に病室にいたため、その場はおさまったかに思えた。

ところが、午後になるとまた




患者 「そうそう、そういえばさっきのお菓子のこと、どうなった?

     一緒に食べましょうよラブラブ


学生 「・・・・・・」

    (近くにいた看護師に相談し、看護師から説明してもらう。)





更に、大抵はここでこういった話題は終焉に向かうはずなのだが・・・





患者 「バカ!何で告げ口するの。黙ってればわからないって言ったのに

    相手の好意を受け取ることも、大事なことなのよむかっ





担当学生は自分がどうしたらよかったのか?

悩み、その後のカンファレンスで、それをテーマに話し合った。

確かに。

気持にこたえることができたら、患者さんの気持もおさまるし、「喜んでもらえた」ということで自分もすっきりするに違いない。

しかし、学校では・・・おそらくどこの学校でも同じ対応をしていると考える。




<模範解答>


やはり、丁重にお断りする。

「お気持だけ」と品物の受け取りはしないことが原則である。


患者は入院費を支払って、医療行為(=サービス)を受けている。わずかながらに看護師の行為にも「看護料」という名目で対価が含まれている。看護学生の実習は、基本的に学校主導のもとに実習病院の責任で一切の看護行為を行っている。したがって学生の実施する援助も原則「病院の看護料」に含まれると判断すべきである。

また、看護サービスは多くの場合、形ないものである。それに対して「品物」という形あるものを受け取ることはなじまない。学生は患者の「受け持ち」により学習の「機会」をいただいているものであり、学生としてはそれに「確実な学習準備をもって質の高い看護を提供する」ことで応える。

この原則の上に成立する関係性なのである。単にいつ何時でも、患者の希望に沿うこと、友達のように何でも言い合えることがよい関係とは言えず、『職業上』の信頼関係であることを学生は理解しなければならない。



実習を重ねれば、大抵の学生が「品物を受け取ってはいけない」ことを知っているし、そのように行動することができる。

しかしその理由が



「ものをもらうのが当たり前になってしまったら(もらわないことでサービスの質が低下したら)困る」

「品物をいただいても職員の対応は変わらない。(だから不要ですよ)」




というのでは不十分だ。

看護師も何かと気配りをしていただき、空腹の時、疲れたときに差し入れをいただくことに対して、うれしくない人はいないであろう。

だからこそ感情的に『まったく』変わらない、とは言い切れないものである。




 (以上、私的見解)



本当に難しい。

日本人の国民性やこの国の風習として、品物の授受が「気持ち」をあらわすものであることは十分に理解できる。

学生にとっては、お断りすることで、患者が「自分が拒否されている」と思われることも苦痛であるに違いない。

しかし、ここで例外をつくってしまうことが適切な対応とは言えない。

ヒトは年齢とともに、疾患発症のリスクが高まるため、今後も入院治療を行うことが多いのだ。そうしたときに


「前回も確か、お届けしたのよね。お隣さんもしていたみたい。どうしたらいいのかしら???」


と言う具合に連鎖する。


また、学生は一切受け取っていなくても、病院職員は受け取っているという事実もある。そこに学生だけ「受け取れないんです」というのも、確かに患者からすれば理解し難いに違いない。

関係者すべて、例外なく「受け取らない」という態度を貫けば、こういったことは起こりえないと思うが・・・現実それも難しいようだ。



学生だから、学生として、学生なのに・・・



半年後には、病院職員となっている(予定)の学生たち。

決まりは決まりとして・・・いったいどう考えますか!?




<追記>


実は今回の件、ちょっとした「裏話」があります。

この患者さん、術後の方で食事ももう再開している方ですが、糖尿病があり、毎日薬を内服し、食前の血糖測定をしています。しかしコントロールはイマイチ!

きっと


「学生さんにお世話になっているから、お礼をしたいの。残るものだといけないから、何かお菓子でも買ってきて」


という具合に、家族に差し入れを頼んだのではないか?

と、私は考えているのです。




なぜなら、大抵このようにお断りをすると


「いえ、たいしたもんじゃないんですよ。本当にお世話になっているから、気持ちだけ受け取ってもらえたらうれしいの。あなたによく似合う柄を選んだのよ・・・」

「学生さん、先生に怒られちゃったかしら?かえってごめんなさいね。よくしてもらってうれしかったから、どうしても渡したかったのよ」


というようなケースが多いのにも関わらず


 「バカ!何で告げ口するの。黙ってればわからないって言ったのに。相手の好意を受け取ることも、大事なことなのよむかっ


・・・どうも「学生のため」というよりも「ご自分のため」の方が勝っているように感じて仕方がない。


感謝の気持ち」もないこともないのでしょうが・・・

しかしもちろん、「患者さんを責める」つもりはない。糖尿病とは「食べたい」のが特徴の疾患だ。何かしら「きっかけ」「いいわけ」の材料として、学生は恰好の存在だったのではないかしら。




学生も、日々いろいろ大変ですねOo。。( ̄¬ ̄*)