令和元年も残りあとわずかですね。
今年一年を振り返ってみたいと思います。
今年は、知的障害のある方の成年後見人として身上保護を担当することになり、知的障害者等の障害者の支援について自分なりに勉強した一年でした。
今年読んだ本のうち、特に印象に残った本をご紹介いたします。
「わたしが障害者じゃなくなる日 〜難病で動けなくてもふつうに生きられる世の中のつくりかた」
(著:海老原宏美 発行:旬報社)
当事者の立場から障害の「社会モデル」についてわかりやすく書かれています。
障害の「社会モデル」とは、障害は「個人」にあるのではなく、「社会」にあるという考え方です。
成年後見人として、障害者の方の意思決定支援をし、その意思の実現を支援していくためには知っておくべき考え方といえるでしょう。
「ズレてる支援!――知的障害/自閉の人たちの自立生活と重度訪問介護の対象拡大」
(著:寺本晃久・岡部耕典・末永弘・岩橋誠治 発行:生活書院)
重度の知的障害者の自立生活を描いて今年話題となった映画「道草」の背景がわかる本です。
著者の岡部さん、末永さんは、映画「道草」にも登場しています。
私としては、成年後見人が知的障害者の自立生活を支えるキーパーソンになり得ると考えているのですが、著者の岡部さんは、成年後見制度について否定的に書いています。その点については、岡部さんにもっと話を聞いてみたいところです。
「障害者の傷、介助者の痛み」
(著:渡邉 琢 発行:青土社)
著者の渡邉さんは京都の自立生活センターで介助者として働いていた経験のある方です。
きれいごとではない障害者の介助の現場で、障害者だけではなく、介助者も傷ついている…。
障害のある人とない人が地域でともに生活していくにはどうすればいいのか考えさせられる一冊です。
私も、成年後見人として障害者の方と接するときにうまく接することができずに、私自身の気持ちが傷ついたりすることがあります。その気持ちの置き所を今も探しています。
「殺す親 殺させられる親~重い障害のある人の親の立場で考える尊厳死・意思決定・地域移行」
(著:児玉真美 発行:生活書院)
著者の児玉さんには重度の障害がある娘さんがいます。
「いつかこの子を残して逝けるだけ、私は総体として人間を信じることができるだろうか…。」
児玉さんのこの言葉を前に、安易に「親亡き後」という言葉を使うことはできないと思います。
果たしてこの言葉に応えられるような成年後見制度になっていると言えるでしょうか。
今年は、本を読んだり、映画を観たりするほかにも、知的障害者との接し方を学ぶために、知的障害者のガイドヘルパーの資格を取ったり、事業所にボランティアとして参加したりしました。
知的障害のある方への支援はライフワークにしたいと思います。
(東京ジェイ法律事務所 司法書士 野村真美)
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