令和元年12月26日、成年後見制度利用促進専門家会議第4回中間検証ワーキング・グループが開催されました。
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成年後見制度利用促進基本計画は、2017年度~2021年度の5か年計画ですが、今年度はその中間年度にあたります。
そこで、成年後見制度利用促進専門家会議に 「中間検証WG」を設置し、全4回にわたって検証を行うことになりました。
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今回はその最終回である第4回目です。
テーマは、
①制度の周知
・任意後見、補助、保佐等の成年後見制度の周知
②不正防止の徹底と利用しやすさの調和
・金融機関における預貯金等管理に係る自主的な取組のための検討の促進等
の2つでした。
①については、法務省、中核機関等によるパンフレット、相談会等による制度の周知が行われている一方、制度の利用が必要な本人まで情報が届かない、メリットが伝わっていないという意見がありました。
②については、成年後見制度支援信託・支援預金によって不正防止に一定の成果がでているものの、それがかえって制度を使いづらくしているとの指摘がありました。
今回、注目すべきは、法務省による任意後見制度の利用状況の調査結果が発表されたということです。
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・任意後見契約締結時の本人の年齢…平均年齢約80歳
・任意後見契約の類型…全体の約4分の3が移行型の契約
・任意後見受任者の属性…全体の約7割が本人の親族
・任意後見監督人の選任状況…登記されている(閉鎖登記を除く。)任意後見契約のうち監督人が選任されている(任意後見契約が発効している)のは約3%
任意後見契約締結時の本人の平均年齢が約80歳というのは、あまりに遅すぎますよね…。
移行型が多いのに監督人が選任されていないケースが多いのも、適正な運用がなされているのか気になるところです。
その他、注目すべきは、保佐・補助制度の下でも利用可能な預貯金管理の仕組みの検討が今後行われる予定であるという点です。
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現状では、不正防止のために成年後見制度支援信託・支援預金が利用できるのは「後見」だけで「保佐・補助」では利用できず、監督人一択となっています。
監督人が選任されると、利用者は監督人報酬を負担し続けなければならず、制度の利用を躊躇させる要因ともなっています。
私も「保佐・補助」においても選択肢を増やすことが必要だと以前から思っていましたので、今後の展開に注目したいです。
これで4回にわたった中間検証ワーキング・グループは終了です。
今後、おそらく、中間検証の結果がまとめられて、成年後見制度利用促進専門家会議に報告されることになるのでしょう。
会議を傍聴するととても勉強になりますね。
ここが日本における成年後見制度に関する議論の最前線と言えるでしょう。
(東京ジェイ法律事務所 司法書士 野村真美)
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