後見センターレポートNo.15 | 成年後見日記

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平成29年10月16日に後見センターレポートNo.15が発行されています。

コチラ

 

後見センターレポートとは、東京家庭裁判所が年3回程度発行する成年後見関係事件を巡る最近の動向に関するレポートです。

 

今回の内容は、次の3つです。

 

1 後見等開始の審判のために鑑定が必要な場合について

2 後見人等の辞任を希望する場合について

3 後見制度支援信託を利用した場合の提出書類について

 

1 後見等開始の審判のために鑑定が必要な場合について

一番最初に鑑定について触れているところを見ると、今後、鑑定が増える方向なのでしょうか?

 

平成28年の「成年後見事件の概況」によると、成年後見関係事件の終局事件のうち、鑑定を実施したものは、全体の約9.2%であり、1割を切っています。

 

実務上は鑑定をしないのが原則で、鑑定をするのが例外になっています。

 

しかし、法律上は鑑定をするのが原則で、鑑定をしないのが例外です。

 

後見センターレポートでは次のように述べています。

「家庭裁判所は,ご本人の精神の状況について鑑定をしなければ,後見開始の審判や保佐開始の審判をすることができません(家事事件手続法119条1項本文,133条)。裁判官が診断書を含む申立書類の内容を検討し,明らかに鑑定の必要がないと認めた場合は,鑑定を
せずに審判をすることもありますが(同法119条1項ただし書,133条),そのような場合でない限り,ご本人について鑑定を行う必要があります。」

 

後見開始の審判や保佐開始の審判をすることにより、本人の権利を制限することになりますので、慎重に判断することは本人の権利を守るために大切なことだと思います。

 

今後は鑑定が増える方向なのでしょうか。動向に注目したいと思います。

 

2 後見人等の辞任を希望する場合について

後見人等が辞任するには、「後見人等辞任許可の申立て」をし、家庭裁判所の許可を得るとともに、あわせて「後見人等選任の申立て」

をして、後任の後見人等を家庭裁判所に選任してもらう必要があります。

 

いきなり申立てをするのではなく、まずは連絡票に事情を記載し、後見センターに郵送又はファックスし、担当書記官に事情を説明するのが大切ですね。

 

3 後見制度支援信託を利用した場合の提出書類について

毎年の定期報告に際し、後見制度支援信託に関する資料については、報告期間中の一時点における残高が分かるもの(信託銀行の通帳のコピー、信託銀行から送付を受けた残高に関する通知書など)

が提出書類になります。

 

住友信託と三菱UFJ信託の後見制度支援信託は通帳なので、記帳してそのコピーを添付すればいいですし、みずほ信託は証書なので年2回来る通知の直近のもののコピーを添付すればいいことになります。

 

 

後見センターレポートは、その時々に裁判所が後見人に知ってもらいたいことがわかりますので、後見業務に携わる人にとってはチェックすることが不可欠ですね。

 

(東京ジェイ法律事務所 司法書士 野村真美)
 

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