【参加報告】成年後見制度利用促進基本計画に関する連続学習会(第1回)  | 成年後見日記

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平成29年7月5日、日弁連主催の成年後見制度利用促進基本計画に関する連続学習会(第1回)に参加しました。

 

テーマは、三類型(後見、保佐、補助) の判定と診断書等の在り方です。詳細⇒コチラ

 

1 問題提起

 ① 私たちが求める成年後見制度と医師の診断書

   久保 厚子氏 (全国手をつなぐ育成会連合会会長)

 ② 「3類型の判定と診断書等の在り方」に関する問題提起

   日弁連高齢者障害者権利支援センター委員

 

2 講演

  三類型(後見、保佐、補助) の判定と診断書等の在り方

  五十嵐 禎人氏 (千葉大学社会精神保健教育研究センター教授)

 

会場はほぼ満員(100人くらい?)で大盛況でした。

さらに全国の約50の弁護士会等の会場に同時配信を行っていました。

 

久保厚子さんは、ご長男が重度の知的障がい者であるという親の立場から

・知的障がい者の後見制度の利用が進まない

・診断書で後見類型になる

・診断書に求めること

といった内容で、問題提起を行いました。

 

「重度障がいの本人でも意思はあり、何らかの意思表示ができる。」

「本人にとって成年後見制度は、前から引っ張るのではなく、後ろから押すのでもなく、人生の伴走者であってほしい。」

 

久保さんのひとつひとつの言葉にとても重みを感じました。

私も成年後見にかかわる一人として、深く心に刻みたいと思います。

 

五十嵐教授は「三類型(後見、保佐、補助) の判定と診断書等の在り方」というテーマで、意思能力・行為能力・事理弁識能力とは何かということからはじまって、成年後見制度における能力判定を分析し、鑑定と診断の違い、診断と鑑定のあるべき姿についての私見に至るまで詳細に講義されました。

 

私は、五十嵐教授のお話を聴きながら、医師が精神障害についての医学的診断をするだけでなく、財産管理能力について三類型の判断をしなければならない現在の診断書はやはり無理があるということを強く感じました。

 

その他会場発言として、東濃成年後見センターの副理事長から、同センターの活動についての報告がありました。同センターの法人後見の受任案件では後見ではなく保佐・補助の割合が高く、頻繁な見守りで保佐・補助を支えているそうです。

 

最後に質疑応答がなされて、4人の方が質問されましたが、その中に成年後見センター・リーガルサポートの理事の方がいて、過去に医師に対して実施したアンケートにふれつつ、五十嵐教授の講義の核心部分についての質問をされていたのは、リーガルサポートの会員としては嬉しかったです。

 

2時間の学習会でしたが、三類型の判定と診断書についての問題点を共有できて有意義な時間でした。

 

この連続学習会はあと3回予定されているそうです。

 

9/6 医療等の意思決定が困難な人への支援

11/6 成年後見制度と意思決定支援

12/5 成年後見人等による不正防止のあり方(後見制度支援信託に代替する方策等) 

 

どれも興味深いテーマですね。

 

 

(東京ジェイ法律事務所 司法書士 野村真美)

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