【日弁連パブコメ】「成年後見制度利用促進基本計画の案」に盛り込むべき事項に対する意見書 | 成年後見日記

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平成29年1月25日、日弁連のホームページに「成年後見制度利用促進基本計画の案」に盛り込むべき事項に対する意見書が掲載されました。

http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2017/opinion_170119_2.pdf

 

1月19日からパブリックコメントの募集が始まっていましたが、それを受けて日弁連の意見として1月24日に内閣府に提出されたとのことです。

 

この意見書の中で私が着目したのはP.8の以下の部分です。

 

「中核機関の機能を整備するに当たり,既存の地域包括ケアや地域福祉のネットワークといった「既存資源」を活用することはあり得るとしても,「既存資源」の例示として,「実績のある専門職団体」が挙げられている点については,特定の専門職団体が,前記の各具体的機能の一部にせよ,その業務の委託を受けて運営することを想定しているのであれば,それには反対である。前記の各具体的機能は,中立性・公正性の担保された中核機関が担うべきものであり,特定の専門職団体がその業務の委託を受けて運営することは,中核機関が担う業務の中立性・公正性に反することになる。特に,受任者調整(マッチング)の機能については,特定の専門職団体がその委託を受けて運営することは,業務の中立性・公正性に明白に反する。」

(注)中核機関の具体的機能とは、広報機能、相談機能、成年後見制度利用促進機能、後見人等支援機能を指します。

 

これはまったくその通りだと思います。

被後見人本人のための地域連携ネットワークや中核機関が各種専門職団体の勢力争いの場になってはいけません。

そんなことをしていたら被後見人本人が置き去りになってしまい、まさに本末転倒…。

日弁連はそれを危惧し、けん制しているのでしょう。

 

それから、意見書のP.9で法人後見の担い手の候補として市民後見人研修修了者を母体とするNPO法人を否定しているのも注目すべき点です。

 

「内閣府案は,中核機関の成年後見制度利用促進機能として,法人後見の担い手の育成・活動支援を挙げ,その担い手の候補の一つとして,市民後見人研修修了者を母体とするNPO法人が考えられるとしている。しかし,これまで都道府県や市町村が行ってきている市民後見人の養成研修は,都道府県や市町村の関与と支援の下で後見人として選任され,あるいは法人後見の支援員となって活動することを前提として実施されてきているものであり,市民後見人研修修了者が都道府県や市町村の関与を離れて独自に後見人として活動したり,法人後見の担い手となるNPO法人を立ち上げて活動したりすることは想定していない。したがって,法人後見の担い手の候補として,市民後見人研修修了者を母体とするNPO法人は削除すべきである。」

 

各地で市民後見人研修修了者を母体とするNPO法人が設立されて、活動していますが、日弁連はこういったNPO法人には否定的な立場なんですね。

たしかに、NPO法人にもいろいろありますから、後見人としての適性を判断するのは難しいのは事実です。

しかし、NPO法人を一律に排除してせっかくの社会資源を活用しないのはもったいないと思います。

選任のための基準の明確化、監督体制の構築等を行い、NPO法人も法人後見の担い手の候補として育成・活動支援していくべきなのではないでしょうか。

 

以上、日弁連のパブリックコメントを読んでの私の感想です。

これから続々各団体の意見が公表されていくと予想されます。

どのような意見が発表されるか、注目したいと思います。

 

(東京ジェイ法律事務所 司法書士 野村真美)

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