今年の6月に東京家庭裁判所の後見サイトに掲載されている「代理行為目録」の改訂がありました。
(申立セット一式)
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/moushitate_set.pdf
保佐人や補助人には当然には代理権はありませんが、本人にとって保佐人や補助人に代理権を与えることが必要な場合には、代理権付与の申立てを行うことにより保佐人や補助人に代理権を付与することができます。
ただし、包括的な代理権は認められず、どのような代理権を付与するかは、本人の意向(同意)を踏まえて裁判所が判断することになります。
「代理行為目録」とは、代理権付与の申立ての際に、必要な代理行為をチェックまたは記入して裁判所に提出するものです。
保佐人や補助人に必要であると予想される代理権を例示列挙してあり、申立人はそれをチェックすればいい形式になっています。
さて、この「代理行為目録」はどう変わったのでしょうか?
一言でいえば、より詳細な内容になったといえます。
たとえば、新たに「1(4)③情報通信(携帯電話、インターネット等)に関する契約の締結、変更、解除及び費用の支払い」が設けられました。
この記載があれば、携帯電話のショップで手続をする際に「代理権あるんですか?」などと言われることはなくなりますね。
また、従来は「2③遺産分割又は単純相続に関する諸手続」だったのが、「2③遺産分割(協議,調停及び審判)又は単純相続に関する諸手続」に変わっています。
この記載があれば、遺産分割調停や審判のときに裁判所から代理権の有無を問題にされることはなくなります。
おそらく、いままで代理権の有無が問題になった実務の集積のうえに今回の「代理行為目録」の改訂があったのではないでしょうか。
また、1(4)①に「臨時福祉給付金その他の公的給付」が追加されたり、4③に「マイナンバー関連書類の受領」が追加されたり、といった時代に合わせた改訂もなされています。
「代理行為目録」の代理行為を詳細に記載することは、過不足のない代理権を保佐人又は補助人に与えることができることになり、本人の権利を守ることにつながると思います。
この「代理行為目録」は任意後見契約を作成する際にも参考になりますね。
保佐や補助の場合には、代理権が不足していれば、追加で代理権付与の申し立てをすれば済みますが、任意後見の場合は、代理権が不足していれば、法定後見に移行せざるを得ない事態も生じます。
そんなことになったら、せっかくの任意後見契約が台無しになりますよね…。
ですから、任意後見の場合にはより慎重に代理行為目録を作成する必要があるといえます。
(東京ジェイ法律事務所 司法書士 野村真美)
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