劇場にて。

5/10

高校教師の原美鈴は、女であることの不平等さを感じながらも、そのことから目を背けて生きている。そんなある日、親友の渕野美奈子から、早藤雅巳と婚約したことを告げられるが、早藤こそ美鈴に女であることの不平等さの意識を植え付けた張本人だった。早藤を忌み嫌いながらも、彼との行為を通して性への欲望や快楽への渇望が芽生え、呼び出しに応じてしまう美鈴。そんなある日、担当クラスの男子生徒・新妻祐希から性の悩みを打ち明けられた彼女は、思わず本音を漏らしてしまう。新妻は自分に対して本音をさらけ出してくれた美鈴にひかれていくが……。

主人公の美鈴を奈緒が演じ、物語の鍵を握る男子生徒の新妻役を人気グループ「HiHi Jets」の猪狩蒼弥、親友の美奈子役を三吉彩花、美奈子の婚約者で表向きは人当たりの良いエリートサラリーマンだが、裏では女を見下し暴力をふるう早藤役を風間俊介が担当した。監督は「弱虫ペダル」「植物図鑑　運命の恋拾いました」の三木康一郎、脚本は「きのう何食べた？」「おかえりモネ」などのテレビドラマで高い評価を受ける安達奈緒子。

◇◆◇◆

この作品は性被害描写が過酷である為に、主演女優さんオファーをことごとく断られた中で、奈緒さんが引き受けてくださったのですがインティマシーコーディネーターを入れてほしいとの要望を監督が（作品を考えて）断ったことが大きく取り沙汰された作品。

とりあえず感想的なものは何から語ればいいのかわからないけど…作品そのものの完成度はちょっと不完全燃焼。正直言えば問題シーンについては、たしかに酷かったけど、もっと酷い作品を観てきたように私は思ってしまい、あまりそこまで酷いとは思えなかったです。（広瀬すずちゃんの「怒り」や「流浪の月」や園子温監督などの方が私は相当にトラウマになった）

まぁどういう描写を酷いというのかは人それぞれによって違うのだろうけど…被害を受けた人、被害を加えた人、それを取り巻く人間関係を描くには、ちょっとふり幅が浅すぎたように思います。

語るなら、描くなら、思いきり。そして二度とこういう事が起きないように、という覚悟の意味をこめて見せるものが今回は作れなかった。その中で監督が断った問題だけが独り歩きをしてしまって、中途半端な作品自体が置いてきぼりになった感じがします。

それに登場人物の誰にも共感ができなかったのが残念だったなぁ。クズはクズなりに、向き合うなら向き合うなりに、が…ちょっとずつ、えぇ、そっち？というズレを否めなかった。

それと奈緒さんもだけど、風間俊介さんの方も心配。女性側だけが言われてるけど、被害を加える役の方にもカウンセリングコーディネーター的なものは必須。絶対病むよ、この役。

それにネタバレになるかもだけどクローゼットでというのは、色んなことを思い出すから本当に苦しかったです。しかも三吉彩花さんて、ちょっと当事者的な人で色々とバッシングされていた人ではなかった？それも含めてあまりに不適切で、、、誰かこのシーンをこの人にやらせるにはどうなの？って感じで、待った！をかけてあげられる人はいなかったのかしら。

そういう問題がチラホラと頭をよぎって、純粋に作品を評価できない心境。

だけど、これをきっかけに作品を演じる方々にはいつも交渉してくれる人がいるのが当たり前で、安心と信頼がみなぎる中で、良作が生まれることを心から期待したいです。

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