図書館にて。

知の体力（新潮新書）

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10/10

”小学校から数えて十数年、どの学生も、一方的に教えられることに慣れすぎているように見える。知識は（中略）刷り込まれてきたと言ってもいいだろう”

”私は学生たちに、二つの選択する必要ができてきたときは、取り敢えずは＜おもしろいほう＞から選べと言い続けている。（中略）最初から安全な方を選んだ場合には、それで何かが変わるという可能性は極めて低い。常に安全なほうと選び続けていく人生は、どんどんその人間の人生を小さなものにしていくだろう。それは、私には耐えがたく退屈なものに思えてしまうのである”

”自分がいやおうなく周りからはみ出してしまう部分。「らしく」という基準からは、どうにも収まれない部分に気づいたとき、そこから個々の個性というものが動き出すはずである。”

”失敗こそが、次に同様の問題に直面したときに成功へと導く必須の布石なのである。失敗を多く経験してきた人間こそ、いざというときにも肝も据わり、冷静な判断を行うことができる。いつも手を差し伸べてなされる成功体験は、成功体験でもなにものでもなく、逆に困ったときには、誰かが助けてくれるという安易な依存体質を形成させるだけのことであって、益するところはなにもないと私は思っている”

“ひとりで堂々と飯を食う。それが格好のいいものであると思える環境を作りたい。（中略）孤独を知ることが自立ということであり、孤独の中でしか自分が自分であることも確認はできないものなのだということ(中略)孤独を恐れてはならない”

”愛情の第一歩は、一緒にいるのが楽しい、一緒にいることそのものが大切な時間として意識できる、そんな単純な感情であろう。（中略）一緒にいることによって、自分のいい面はどんどん出てくると感じられる相手こそが、本当の意味での伴侶となるべき存在なのだと、私は思っている。”

”愛する人を失ったとき、失恋でも、死による別れでも、それが痛切な痛みとして堪えるのは、愛の対象を失ったからだけではなく、その相手の前で輝いていた自分を失ったからなのでもある。（中略）４０年連れ添った妻を失った。彼女の前で自分がどんなに自然に無邪気に輝いていたかを、今ごろになって痛切に感じている”

◇◆◇◆

以前、亡くなられた奥様の事を綴った著者の本を拝読しました。何にも代えがたい存在を失う辛さを痛切に書かれていました。あらためて教授として教鞭をとる講師としての立場から考えた教育について。学ぶことについて。考えるという基礎体力の大切にさについてを詳しく述べられています。

私も、教える立場として、また人生を考える者として、職業柄、人にお伝えをしているのですが…うーん、そもそも「考える力」がない人があまりにも多いことに今でも驚くことがあります。何事も、知恵は人から教わりものであり、という考えをまず取り除いて欲しい。そして教えてもらう、受け取るだけ、という人生のスタンスもやめてほしいのです。

ここで著者が言うように、いつまでも受け身であると…人生を立て直す力、生き抜く力、切り開く力がいつまでたっても身につきません。それらを真摯に活字にされていることに感動しました。少々、読むには難しい言い回しと感じる部分も多かったのですが、端的に言うと「知なる体力をつけましょう」といいうタイトルそのままの本です。ぜひおススメです。

以前、読んだ著者の感想も記事にしています。名前の運気もありますので、ぜひ♪

『家庭運２０画の苦しい人生が見えるお話　～たとへば君～　著者河野裕子氏　永田和宏氏』お借りして拝読した本です。永田和宏氏、河野裕子氏はご夫婦で歌人であり互いを思い合うエッセイ。二人が恋をして、家庭を築き、河野氏が病に倒れて旅立つまで。…

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たとへば君四十年の恋歌 (文春文庫か 64-1)

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～知の体力～ 受け身でいるな、孤独を恐れるな、自ら学べ。

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