桜旅① 無鄰菴と植木屋・小川治兵衛
桜満開の京都に行きたい!
でもあの混雑がねぇ。
とか、事前に飛行機予約しなくちゃいけないから、果たしてそれが花の時期とうまく合うのか?
とか、じゃっ満開になったらすぐ飛行機乗ればいいじゃん!
って、それじゃチケット代もホテル代もお高いし・・。
いつ満開になるのかわからない桜のために、遠くから京都を目指すのってかなり大変だけど、今回はまぁまぁ当たりって感じの旅かな。
暖かい日が続いて、開花も早かったからね。
というわけで、3月31日京都へ。
今回の目的は、人混みにめげず桜を堪能すること。
平安神宮の紅枝垂れ、哲学の道、インクライン、そして期待大の醍醐寺へ。
ってまさに王道だよね。
うわさに聞く原谷苑もタイミングが良ければ行きたいな。
そして植治こと植木屋・小川治兵衛さんの庭を見ること。
以前偶然見ていたTV番組で植治が作った庭を見て、興味があったから・・。
荷物はキャリーサービスに頼んで宿に運んでもらい、地下鉄一日券購入、蹴上まで。
仁王門通に沿って見事な桜並木。満開です。
お天気はいいし、最高な一日になりそうな予感かも。
でっ目指すのは「無鄰菴(むりんあん)」。
賑やかな南禅寺や動物園方向ではなく左折すると、違う趣の京都の顔出現。
仁王門通やインクラインの浮足立った華やかさではなく、静かなたたずまいの中、鳥のさえずりだけが聞こえて・・。
無鄰菴は明治・大正の元老だった、山形有朋の別荘です。
明治27年造営にとりかかり、日清戦争で一時中断、29年に完成。
長州での最初の別荘が隣に何もない閑静な場所だったので、「無鄰菴」とし、その名を使ったのだとか。
ちなみに一日券を見せると入場料が 410円→310円 になります。
敷地の大半を占める庭園は有朋自らの設計・監督・・。
って、さすがに3軒目の別荘ともなると、あぁしたいとかこんな風にとか、イメージがたっぷり沸くんでしょうね。
造園家・小川治兵衛(7代目)作庭のこの庭は、ゆるやかな傾斜地に東山を借景とし、明るい芝生に琵琶湖疎水を引き込み、浅い流れを配した池泉回遊式庭園です。
柔らかにくねる浅瀬の水、傾斜地に広がる芝生、遠くに東山。
近くの喧騒はこれっぽっちも聞こえず、降り注ぐ陽光と鳥の声だけがきこえる。
池泉回遊式庭園というのは、今までもあちこちで見たのだけど、
池を中心にして土地の起伏を生かすか築山を築き、自然石としての庭石や草木を配す。
滝を模し、水が深山から流れ出し、大きな流れになっていく様子を表現。
蓬莱島・鶴島・亀島や橋・白砂・遣水など伝統的日本庭園の要素を取り込み、四季折々楽しむことが出来る。
みたいな定義だそうです。
母屋です。
廊下の右にトイレがあって、木に隠れたあたりに手水鉢のようなものがあります。
天気のいい日だったから、この縁側で一休みはいい気持ちだし、なんか心が落ち着きます。
平安時代の造園指南書とも言うべき「作庭記」には、
四神相応の地を選び、主建物の左、東から南へ流し、さらに東から西へ流すと書いてあります。
四神つまり白虎・青竜・朱雀・玄武ってことは、風水の考えってことでしょうか?
そして確かに、ここの三段の滝は東端にあり、流れは南から西へと続きます。
ただ水を流すだけでなく、水を左右に分けて流す水切り石や水中の底石、水面下で水を盛り上げる水越石が絶妙な配置となって、何気なくも美しい水の流れができているのでしょう。
陽の当たる面には芝生、半日陰の部分はきれいな苔におおわれています。
苔がきれいに生えるためにはまず水分、そして微妙な加減の日あたりが必要なのだとか。
ビロードのような苔の上に、葉っぱ一枚落ちてないというのは、かなり手が入れられているんでしょうね。
琵琶湖疎水計画は明治23年に竣工しました。
当時京都府は、東山地区を将来の別荘地とする方針を取っていて、無鄰菴はその先駆けとなったのだとか。
疎水の水を利用した庭がこのあたりにはたくさんでき、7代目植治がかかわった庭も数多い。
ってことで、今回はあちこち植治の庭も見ていきます。
平安神宮や、明日行く予定の八千代や杏こ庵の庭、楽しみだなぁ。
そういえば何年か前に泊まったウエスティン都ホテルの庭も素敵で、ブログの中を探ってみたけど出てこないのよね。
もちろんここの庭も、佳水園庭園は7代目小川治兵衛の長男・白楊が、
もうひとつの葵殿庭園は七代目小川治兵衛の作で、三段の滝で構成された雄大な回遊式庭園となってます。
その時は何も知らなくて、でもこの庭ってスゴイ!ちょっと違うぞって感じで・・。
あ~またウエスティン都ホテルに泊まりたいな。