さがしもの (新潮文庫)/角田 光代

このところ、パン屋のアルバイトがスケジュール帳にびっしり詰まっていて


マンスリーカレンダーのページを見るたびにぎょっとしてしまう。


朝の七時からお昼までとはいえ、汗をだくだくと流しながらパワーをマックスにして働くと、


家についたらくたくたのくったくたで、


シャワーを浴びた後のストレッチ中にやってくる、


突然意識が遠のく病的な昼寝は2時間をゆうに超えてしまい、ベッドから自分の体を引きはがすのに


苦しみすら感じてしまうほどである。



そんな月曜日から金曜日の5日間ではあるけれども、


仕事意外では何か用事でもない限り外へ一歩たりともでない生活は


読書の時間を大幅に増加させてくれた。


本屋に行く気力すらないので家にある亮ちゃんの文庫本にまで手を伸ばし


(特に男の子の)青春時代の愛読書でありがちな村上春樹を読みふける。


一番最近では「ねじまき鳥クロニクル」の、分厚い3部作をやっと読み終えた。


2巻は猛スピードだったけど、1巻と3巻はなかなか進まず、3巻などは


結末を知りたいがためだけに、若干苦しみながら読み終えたべーっだ!


そんなストレス読書の日々に終止符を打つべく週末にたまたま出かけたTSUTAYAで


大好きな角田光代の本を手に入れた。


1日であっという間に読み終えたこの本は、


本にまつわるストーリーをまとめた短篇集で、角田光代の本への愛情を


ひしひしと感じる、とてもあったかい本。


久しぶりに読む、好きな作家の好きな文体と心にしみるストーリーに


ねじまき鳥にくらった暗黒の時代なんてすぐにどっかへ飛んでいってしまった。


読み終えた後の溢れ出すたくさんの思いから、ファンレターでも書いてしまおうかと思った。



複数のストーリを通して何度も繰り返されていたのは


一冊の本に対する愛着。


最初面白くなくても、自分の成長や自分の心の状況で


後になって読み返すとまったく違ったように感じることがあるということ。



私も好きな作家は常に流動的だから、すごくわかる気がした。


戻ったり進んだり、進んだり戻ったり。


本でも映画でも音楽でも同じこと。


莫大な量の中から一つを選んだという運命を大切にして


その選んだものから感じる自分の成長を楽しみにしていきたい。


数年後開いた「ねじまき鳥クロニクル」は、一体どのように変化するのだろうか。