3年ぶりに過ごすフランスの夏。
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3時起きで空港に向かった早朝便。
二本早い電車で向かおうとするも
前回は時間の余裕があったし
出発が早すぎるから一本前の電車にして
30分の睡眠を優先した。
通常ならちょうどよい時間に到着するも
想像以上に混み合った空港に焦った。
確実に間に合わない状態。
眠気が覚め、ピリピリした。
全部の予定が台無しになってしまいそう…
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40分待ちのセキュリティ検査に
並んでる人たちに夫がお願いをした。
“フライトを逃しそうだから順番を
優先してくれませんか”
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一人目
いい顔はせずにいいよと言ってくれる
少しだけ前に進めたけど、まだ間に合う気がしない。
二人目
真顔でヤダとキッパリ断られる
逃すことを覚悟した。大人しく並びを待つ。
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三人目![]()
どこかで私たちを
見て気にかけてくれていたのか、
家族連れの男の人が話しかけてきた。
「あとどれくらいで搭乗?」
「20分」
「みなさん!聞いて。
彼らを優先してあげて。
彼らの飛行機はまもなく搭乗開始する!」
彼の一声で並んだ人は速やかに
私たちを優先してくれた。
セキュリティを通過したとき、
その男性の温かさに泣きそうになった。
なんて豊かな人なんだろう。
お願いしたわけでもないのに
名前もわからなければ
二度と会うこともないであろうに
相手のピンチを察知し助け舟を出せる
その溢れた余裕と人を巻き込む強さ。
対人関係に疲れ果てて
何もしなければ何も起きない、と
もう何も悩みたくない、と
人と深く関わることも
協力的でいることも頼ることさえも
極力避けてきた私とは正反対。
いつの間にか人の温もりを忘れるほど
孤独を選ぶことに慣れてしまっていた。
“孤独”の正しい使い方も知らないまま
痛みから逃げていただけだったのかも。
頭を殴られたような体験。
間違いなく彼のおかげで
フランスに着くことができた。
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人と関わってでも人の温もりを感じたい
って思ってしまうほどの衝撃を受けた。
あのときの感覚は昔に体験した
いろんな温かさまで呼び起こした。
私が人を好きだった理由だ。
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“やっぱりこんな人になりたい!”
自分の在り方をアップデートする
背中を見せてもらった。
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勘違いしていたことがある。
それは、こんな風に感じたときに
その人の真似をして素敵な人ぶろうと
したこと。
心が追いついていないのに
他人を真似ることを頑張りすぎて
形だけの、結果がついてしまって
自分が何者かわからなくなった。
そして、人間不信に陥った。
自業自得。
もう誰の真似なんかもしないで
自分のままで生きた結果、
人の力になれる日がくるといいなと思う。