2008年 ノルウェー映画

 

これは史実に基づいた映画で、主人公のマックス・マヌスは

【ノルウェーの英雄】と言われてます

劇中に出てくる日付けは史実です

ノルウェーがナチスドイツに侵略されてたことを知った作品なので

機会があれば観て欲しい、日本では珍しいノルウェー映画です

 

          ※

 

第二次大戦下の1940年代

ノルウェーはナチスの占領下にあった

故郷ノルウェーをナチスから取り戻すため

マックスはリーダーとなって仲間たちと戦う

 

          ※

 

1940年

フィンランドでロシアと前線で戦ってたマックスだが

負傷して故郷ノルウェーに傷病兵として帰国して入院生活を余儀なくされる

物語全般に於いてマックスはこの前線での戦いを回想する

ロシア兵を殺したこと、殺されかけたこと、ロシア兵に虐殺された民間人の

死体の山など・・・

 

怪我が回復して、祖国ノルウェーをナチスから取り戻したいマックスは

仲間たちと落ち合う

 

マックス、コルベイン、グンナー、グレガス、タラク

5人の仲間が集まった

(字幕が仲間なので同志ではなく仲間で統一します)

ノルウェー政府は防衛を断念して勝算のない中だが戦うことを決意する5人

地下組織を結成した5人はまず新聞を作る

プロパガンダだ

初のフリーペーパーの見出しは

【祖国を取り戻せ!ノルウェーのために!】

 

徐々に仲間も増え組織力も高まり、政府直々の統括機関と繋がりが出来るが

彼らはまだ甘かった

 

マックスが酔って自宅アパートに戻ると、室内に潜伏してた治安警察に逮捕されそうになり

マックスは2階の窓から飛び降りた

が、着地失敗でそのまま失神

 

意識が戻ると病院のベッドの上

中々の重症だ

 

だが、それが功を奏して逃げるチャンスが出来た

 

病室前には5人の警官が見張ってるが室内にはいない

民間病院なので窓もあれば格子もない

ドクターもナースも善良な愛国者で、口裏を合わせたわけではないが

「動かせば死ぬ」

と治安警察に大袈裟な診断を伝えてた

 

治安警察としては生きたまま逮捕して組織のことを吐かせたい

まだ死なせたくはない

それで回復まで見張りを立てたが

ドクターとナースの協力でマックスは窓からの脱出に成功した

 

だが、その代償はドクターとナースの逮捕

(このふたりの生存は最後まで不明)

 

逃げ延びたマックスは統括機関の軍事訓練所に少尉として入所した

そこには先にグレガスも伍長として入所してた

心配なのはコルベインだ

自国の捕虜を逃す手助けをして収容所に入れられてしまったのだ

 

マックスとグレガスは厳しい訓練で肉体的にも精神的にも強くなる

そしてふたりは奇襲部隊である妨害工作員に任命される

全ては母国ノルウェーを取り戻すために!

 

1943年4月27日

オスロ港 マルドニオス作戦

停泊中のドイツ軍事船3隻の爆破成功

 

治安警察のジークフリートは造船所の労働者5人を逮捕した

その中に労働者として潜入して手引きした工作員のシギュールもいた

 

マックスは次の任務でグレガスとストックホルムに向かってたので

シギュールの逮捕を知らずにいた

ストックホルムのイギリス大使館で働く女性ティケンはグレガスの姉貴分で指南役

ディナーの席でティケンを熱く見つめるマックス

呑気にティケンに恋心を寄せる

 

 

治安警察に初老の女性がジークフリートに嘆願に来た

息子シギュールの命乞いだ

女性を案内したのはジークフリートの彼女

善良な彼女はジークフリートなら助けられると思ったのだろう

ジークフリートは彼女の手前

「なんとかしてみましょう」

と紳士的に対応した

そんなジークフリートに目を輝かせる彼女

が、そんな甘い男なわけがない

当然処刑は実行されて、シギュール含む5人は銃殺された

 

シギュールは工作員

命を落としてもそれは大義だとグンナーは言うが

マックスとグレガスは納得できずに悲しむ

 

そんな中、収容所にいたコルベインが3年振りに出所した

マックスとは無関係が認められたのだ

涙の再会だがコルベインの顔には傷が、表情には辛い3年間が滲み出てた

 

コルベインも加わり工作活動は更に活発になったが

マックスの判断ミスで治安警察と銃撃戦になる危機的状況に陥ってしまった

工作員たちは散り散りに逃げたがマックスは執拗に追われて

首筋を撃たれても尚逃走したが遂に絶対絶命となる

仲間のラーシュのおかげでマックスは辛うじて助かったが

身代わりにラーシュが命を落としてしまった

 

この作戦の失敗でラーシュとペルは死亡

ディックとティモは安否不明

(後に治安警察による拷問死が判明)

 

これは完全にマックスの甘い判断が起こした死だ

 

1944年11月13日

グレガスとタラクがある人物と会うために指定されたカフェへ

その相手は治安警察でジークフリートより上の階級の男だ

ゲシュタポの情報を流すと嵌めたのだ

 

カフェ内の客の中に一般人のそれでないことに気付くグレガス

目の前の男を撃つ

更に近付いてきたふたりも撃つ

(作戦に自信があったのだろうがグレガスの勘の良さを舐めてましたね)

 

途端に武装した警察隊が突入してきて銃撃戦になり

グレガス死亡

タラクも撃たれたが死には至らず連行された

 

過去にも仲間が拷問死してる

銃殺の方が余程マシなのも知っている

「全部吐けば楽に死なせてやる」

 

牢獄の中、タラクは自分のシャツを破り紐状にして

窓の格子を使って首を吊った

吐いても死、吐かなくても拷問死

ならば自死を選ぶことで仲間を守ったタラクだった

 

続く仲間の死に精神的に追い詰められたマックスは

グンナーとコルベイン以外の仲間を信用できなくなる

 

マックスは死んでいった仲間への弔いと、もう誰も犠牲にしない決意で

大型船艦ドナウ号爆破をひとりで決行しようとする

ドナウ号にはドイツ軍の5中隊と武器が大量に載ってるのだ

 

だがコルベインが実力行使でマックスの決意を変える

「友を失ったのはおまえだけじゃない!」

「一緒に戦って一緒に生き延びるんだ!」

 

地獄の収容所から生還したコルベインの言葉の重さに

マックスは3人でドナウ号に爆弾を仕掛けに向かった

 

1945年1月16日

ドナウ号爆破成功

同時にグンナーが仕掛けた複数の線路の爆破も成功

ナチスドイツに海路と陸路破壊の大ダメージを与えた

 

だが治安警察も反撃だ

コルベインとオニェブロテンの自宅を襲撃

コルベインは逃げられたがオニェブロテンと数名の仲間は死亡

 

その日の午後、ラジオニュースでヒトラーの死亡が発表される

もう少しこのニュースが早ければ・・・

 

1945年5月8日

ノルウェーは占領下から解放され、自国の国旗を高々と掲げた

ついに祖国を取り戻した

 

そしてジークフリートが戦争犯罪人としてノルウェー政府に逮捕される

面会に行ったマックスに

「会えて嬉しかったがさよならだな」

ジークフリートは実に潔く清々しい表情で運命を受け入れていた

 

戦争は終わった

沢山の仲間が、同胞が死んだ

マックスも沢山のドイツ兵、ドイツ人を殺した

 

俺が投獄されて満足か?

「ずっと殺したかった・・・」

今は?

「・・・」

マックスの目にジークフリートに対する殺意は微塵も感じられない

 

 

帰宅してソファーに座るマックス

静かだ

音のない世界

 

するとドアが開いて、酒のボトルを持ったタラクが賑やかに入ってきた

そしてグレガスやラーシュに酒を注ぐ

ペルやオニェブロテンもいる

みんな笑顔で乾杯だ

「自由に!」

「陛下に!」

「マックスに!」

【ーーー乾杯!!!ーーー】

 

見つめ合うマックスと仲間たち

だが次の瞬間、そこには誰もいなかった

 

アル中のマックスが見た幻想だ

仲間はいない

金もない

学歴もない

仕事もない

平和になった世の中で自分だけが置き去りにされる孤独

 

そんなマックスを救ったのがティケンだった

 

1945年6月7日

国王陛下夫妻の平和パレード

陛下夫妻の車にはマックス

後続車にはコルベインとグンナーの姿がある

国王夫妻と英雄たちにエールの旗を振る民衆

誇らしげなコルベインとグンナーに対して曇った表情のマックス

 

これも幻想か?

不安になるマックスだが

これは現実・・・現実なんだ!

安堵してようやく微笑みを浮かべるマックス

 

             ーーーーー完ーーーーー

 

【追記】

エンドロールで各々のその後が紹介されます

 

マックスはティケンと結婚し、起業し、81歳まで長生きしました

 

コルベインはマックスの会社に就職します

 

グンナーはノルウェーレジスタンスの語り部に

(本編を通してグンナーは物静かですが、慎重且つ着実に任務を遂行してました

ぶっちゃけグンナーがリーダーだったら仲間の死も少なかったのでは?

と思えますが、リーダーシップはマックスだったのでしょう)

ノルウェー最多受勲者の1人となります

 

そしてジークフリートは1948年に銃殺刑に処されます

ジークフリートは「シンドラーのリスト」で有名且つ悪名高いアーモン・ゲートに比べ

遥かに人道的でさほど悪人ではありませんでした

マックスが殺したドイツ人の数の方が極悪なので処刑は可哀想だと思ってしまいました

でもそれが敗戦国のケジメなんですよね

 

先人たちの流した血の上に今の平和がある事を私たちは忘れてはいけません