題名を見て、いきなりなんだろ?
と、思ったかも知れませんが
今夜ロマンス劇場で……に続く
感動の映画シリーズ  第2弾かも知れないし。
まったく違う話の展開になるかも。
自分でもわかりません(笑)

昨日の29日、BSNHKで放送された三島由紀夫の【潮騒】である
私たち、日本人が忘れてしまったとびきりの純情がここにあった。
子を思う親の気持ち
従順に親に従いながらも、愛を貫きたい若者
狭い島の中でスキャンダルは広がる
揺れ動く心の葛藤と戦いながらも、2人は強く生きていく
原作は、切腹自殺した三島由紀夫
主役は、人気絶頂期に引退した山口百恵

山口百恵は、森昌子、桜田淳子と並び、花の御三家と言われていたが、出だしは2人よりも、かなり人気に差があった。
彼女の生い立ちは、愛人の子供という立場
だから、どことなく儚げで寂しそうな顔だちだった。
小さい頃に、いきなり本妻が現れて、地獄のように生々しい女同士の壮絶な喧嘩を目の当たりにしながら、生きてきた。
彼女が芸能界に入ったのは生活のためだった。
家族を守り、母と妹を養うため
だから「健全な結婚」という、全うな人生を歩めるとわかるや否や、芸能界をあっさりと引退し、家庭に入った。
その、年齢がまだ24歳だったというのだから驚きだ。
人気も上がり、いつしか御三家でも人気No.1になっていた。
そんな、国民的アイドルを射止めたのが、まだ駆け出しの俳優だった三浦友和だ。

映画潮騒を一躍有名にさせたのは、
 待ち合わせ場所で、うたた寝をしてしまい、目覚めた彼が見たものは、一糸纏わぬ彼女の姿
2人は伊豆の踊り子を大ヒットさせ
続く潮騒の、このシーンは大いに話題になった
前作では、身分違いの恋で、三浦友和は、優秀な学生だったが、この潮騒はお嬢様と貧しい漁師の話だった。
2人の身分違いの恋は、島の噂になり、
初枝の父が所有する、大型船の乗組員に誘われる。
彼は荒れ狂う真っ暗な海を泳いで船を守り、船も人も事故なく土地に帰ってきた。
その度胸に、頑固親父も2人の仲を認めて結婚を許されるという、happyendなのだが。
意地悪を言えば、荒れ狂う海の藻屑となり悲劇の結果も作れてしまう作品だ。

大野丸より、小さな船で初めての公のデートで、物語は終わる
山口百恵は、女優としても歌手としても引退してしまったが、実生活でも夫になった三浦友和は、どんどん大きな役者に成長していった。
そんな、彼が父親を演じる時代になって
潮騒では、寡黙な青年は
やはり、寡黙な父親で
「大丈夫だ」と病室で大野智が大好きな言葉を掛ける


山口百恵は、引退した時に
「あなたは(結婚→引退)せっかく上がった女性の地位を一気に引きずり下ろしたのよ」と、上司から苦言を呈されたという。

また、クーデターを起こし、切腹自殺を遂げた原作者の三島由紀夫も、世界に衝撃を与え、「まだ日本人は切腹をしていたのか!」と
これも、一気に文化的日本を、野蛮な日本に引きずり下ろしたと言われた。
(三島事件とは1970年11月25日に、憲法改正を自衛隊に決起させ、その後市ヶ谷駐屯地で割腹自殺した)

新しい生活を得た山口百恵は、幸せだった。
どんなに、特集を組むからと言われても
そろそろ銀幕に戻りませんか?と言われても
絶対首を縦に降らなかった
いつまでたっても、衰えない百恵人気は、復帰を望む業界のドル箱だったが、
小さい頃から、憧れたのは芸能界ではなく、目的はあくまでも「普通の家庭」
彼女のスポットライトは、華やかなステージではなかった。
ただ、それだけのことなのだ。
オーディション番組で、普通の少女にダイヤモンドの原石を見つけた審査員
そして、大野智の原石を見つけたのは、ジャニー社長だった。

共通点があるなんて、言わない
だけど
一度は降りた舞台でも、スポットライトを浴びた快感が忘れられず、誰もが戻りたがる世界
もっとやりたいことがあるから。
と、芸能界を去っていく人も
隣の芝生は青く見えて、やりたいと思ったことは、芸能界よりも魅力的ではなかった。
と、言っては戻って来る。

世界の三島は独身で
山口百恵は、ソロ歌手だった。
どんな結果になろうとも、人生の選択は自分の手で決められたのだ。

そして、この潮騒のナレーションは
石坂浩二
ドラマ経験が多いとは言えない彼の
貴重な共演者
計算高い我々は、大御所の彼と親しくなり
もっと、大きな仕事が来ることを期待していた。


東山紀之さんが、大野君をディナーショーに招待したとき、同じテーブルには大物脚本家がいた。
しかし、彼は何もアピールをしなかった。
彼の目的は、先輩のショーを堪能することだけ。
隣の大物が話しかけても、一言二言答えるというぐらいだったと、目撃者は語った。

同じ昨日
最後の「鍵のかかった部屋」が終了した。
当時まだ、生を受けてなかった子供が、怪物くんに続き、この再放送も夢中で見ていた。
老若男女をここまで、惹き付ける大野智という人は、有り余る才能を持ちながら
これからどこに向かっていくのだろう。

もし、彼が一生芸能界に居ることを望むなら、今までのご縁をことごとく無視など、出来なかっただろう
沢山落ちているチャンスを拾うこともせず、長いものにも巻かれず、染まることも知らずに、ただひたすらに自分を信じ、その道を突き進んだ。


私たちは………
そんな不器用な彼を愛してきたのだ


何を言うことがあるだろうか?