今思えば、“ひと惚れ”だったのかもしれない。


彼と送迎バスに乗り込んだ後、

『わたしの名前は、アリと言います。 よろしくお願いします。』と、

彼から挨拶と、丁寧に名詞まで渡してもらい、

『わたしの名前は、まみです。』

と自己紹介をする。


そこから、ホテルまでの送迎時間で、

『トルコでは、なんの興味があるのか???』とか、

『いくつなのか???』など会話をしていくうちに、

『今日の夜はどこでご飯を食べるか決まっていますか???』と丁寧な日本語で言われ、

『特に決まってないです、どこが美味しいですか???』と聞くと、

『もし良ければ、わたしの次の仕事が終わったら、新市街の方へご飯食べに行くので、

一緒に食べに行きませんか???』と誘われ、

『えぇ~~怪しいでしょ~~』と笑って言っていたら、

『怪しくないよ~~』

『怪しいでしょ~~(笑)』を何度か繰り返す。


さすがに、その時は、女の一人旅、日本で彼氏がいる、初対面で誘う、ということに半信半疑だった。


結局、『行く。』とはっきり言わずに、ホテルへ到着。


ホテルへ着いてからも、

わたしがあまりにも『怪しい~~』と言っていたら、

『もし、いやだったら、大丈夫です。でも、よければどうですか・・・どうしますか???』

と、次の仕事もある彼は、少し早口でわたしの答えを急かす。


わたしは、少し考えてから、

『じゃあ、一緒に行きます。』と答え、時間を決めて、ロビーで待ち合わせる約束をした。


わたしは、『行く』決断をして、内心ドキドキしていた。


彼氏への罪悪感も少なからずあった。


けど、別に食事に行くだけだし・・・と自分へ言い訳をしつつ、楽しみにしていた。


振り返ると、この誘いの決断が、わたしの運命の分かれ道だった。



 

うちの会社には、年に2回12日間の休暇がある。

販売職の為、もっぱら土日は仕事なので、

旅行好きのわたしは、

この休暇で、国内、海外問わず旅行していた。


彼がアルバイトの時には、休みを合わせて旅行したが、

社会人になった今は、なかなか合わせることが出来なかった。

それでも、なんとか一緒に行きたかったわたしは、

休みのギリギリまで予定を入れず、彼の休みが確定するまで待っていた。


テレビで観たイスタンブールに、何故かとても行きたくなり、

結局合わせられそうにない彼との休みに見切りをつけて、

初めての海外1人旅は、“トルコ”へ決定した。


世界遺産、買い物、食べ物、どれもが魅力的だったけど、

旅行のツアーは、だいたい、バスでみっちり周る予定の詰まったものばかり。


どうしても、バスツアーでは行きたくなかったので、

今回は、イスタンブールだけと決めて、

航空券とホテルとホテルまでの送迎付の旅行にした。


最後まで、お金もかかるし、どうしようか迷っていたわたしに、

『せっかくなんだから、行って来なよっっ。』と、

後押しをした彼。


ギリギリに予約したので、予定より1日ずれてしまったけど、

無事に予約が取れた。


初めての海外1人旅だったけれど、

飛行機で隣になった女性と、お互い1人旅同士話も弾み、

乗り継ぎ国・カタールを周ろうということになり、

一緒に周る計画を立て、

そして、そこに居合わせた1人旅の男性も合わせて3人で周った。


職業柄、あまり人見知りをせず、話が出来るわたしは、

1人旅でもあまり淋しさを感じず、

出だしから、一期一会の旅行を満喫していた。


乗り継ぎを経て、やっとイスタンブールへ到着。


イスタンブールは、すでに夕方。


空港で、両替をしようと待っていると、

わたしの名前が、片言の日本語でアナウンスがかかっている。

アナウンスされることなんて、初めてのわたしは、

慌てて、カタールを共に旅した2人に挨拶をして、

空港から外へ飛び出た。


空港の外には、人がたくさんいて、

自分のツアー会社を見つけられず、

かばんから、ツアーのステッカーを出して、

ひたすら人だかりに目を向けていると、

目が合ったトルコ人が、

手を挙げて、こっちと手招きをしている。


半信半疑のまま、彼へ着いて行き、

バスへ乗り込む。


これが、“出逢い”だった。








わたしには、5歳年下の彼氏がいた。

彼は、わたしの働く会社で、アルバイトだった。

はじめは、会社の仲間に内緒でつきあっていたものの、

つき合いも1年、2年と続き、

いつしか、会社の仲間、うちの家族、彼の家族も公認のつき合いとなっていた。


わたしは、今年で29歳。


女の29歳といえば、結婚し始めたり、子供を出産したりと、

目白押し。


わたしは、仕事も、プライベートも順調で、

彼とも、あと2年位して、

彼の仕事が落ち着いたら、結婚するのかなぁとぼんやり思っていた。


ある日、

会社の女友達と占いへ行った。

もっぱら、女友達との会話は、恋愛、結婚、たまに仕事の話。

占いでは、各自恋愛、仕事、総合運をみてもらった。


わたしは、総合運。


先生が、

『仕事は、慣れてきて、飽きている様子。

パワーがあり余っているから、新しい習い事でもはじめてみたら?』と。


もともと飽きっぽいわたしは、今の仕事に少したいくつしていたのかも・・・

嫌いではないものの、毎日忙しく慌しくて、ここ最近は自分に余裕がなかった。


『恋愛は・・・

“キングのカード”が出ている。。。あと、“別れのカード”も・・・

彼氏はいますか???』と聞かれ、


わたしは、

『はい。』と答えた。


『あなたにとって権力をもった男の人が現れる、

リードしてくれるキングのカードが出ている。

そして、別れのカードが出ているので、

今の彼とは別れる、彼は、あなたから離れるでしょう。』と。


みんなで、えぇ~と笑い、

帰り道、

『まみの占いだけ、なんだか合ってなかったね~~』

と占いのおさらいをみんなでしながら、話していた。


まさか、その占いが予言になるとは、

その時は全く思っていなかった。