暖簾に腕押しひとり来たりて地下鉄道(さぶうえい)の青き歩廊(ほうむ)をさまよひつ君が夢には無きものをなに幻影(まぼろし)の後尾燈空洞(うつろ)に暗きトンネルの壁に映りて消え行けり。壁に映りて過ぎ行けり。萩原朔太郎 『地下鉄道(さぶうえい)にて』