届かなかったBirthday card。

この季節にだけ蘇る、哀。


「一緒にローソク吹き消そう。」

ある夏の夜に、数ヶ月後の約束を交わした。
優しい眼差しが「ずっと傍にいる」と言外に伝えてくれた様で、
嬉しかった。

「当日は無理かもしれないけど、なるべく近い日に、さ。」

約束の日を翌月に控えた秋の夜更け。
深夜まで慌ただしい私と、深夜から仕事に追われ始める彼。

すれ違いの日々は続き、数分間の会話だけが二人を繋いでいた。



忘れるはずもない、2日遅れて私が迎えるBirthday。

「あの約束は有効ですか。」

実現しない二人の時間を閉じ籠めて、
小さな灯りを携えたケーキの映像を送った。
そして、彼からの返事は届かないまま。

未開封のカードに綴った言葉は、最後の『愛してる』。


BGN:<別れの街>「鈴木雅之」<MARTINIⅡ>より