親のためとか、自分ちの会社のためとか、そういうのもなきにしもあらずではあろうが、大抵の人は「幸せになるため」に結婚する。そして家族をつくる。でもその家族は自分がかつていた親から無償の愛をもらえる家族ではない。配偶者は元々他人だし、若い頃にはまだ人を見る目が育ってないから、その他人がいつ牙を向くようになるか(それとも一生ならないか)わからないままに「気軽に」婚姻届にサインする。

 頭が「結婚した!」という高揚感に酔っている間は妊娠もしやすく、大抵は恋愛病の発症期間の4年以内に子供ができる。4年を過ぎると恋愛病から覚めるが、その頃には本能が「この子を育てなければいけない、無償の愛を注がなければいけない」と囁く育児病にかかっている。恋愛病から回復して現実の世界、現実の配偶者が見えるようになってはきているが、今度は脳が育児病に支配されているため女性は「忙しさに紛れてしまって」男性は「相手がこんな性格になったのは育児で忙しいせいだ」という楽天的解釈と親になったことへの責任感からシャカリキになって企業戦士として戦い始めるため、やはり相手の真の姿が見えにくい。

 子供が大きくなって心の余裕が出てくるにつれて「あれ?なんだか幸せじゃない気がする」と本能のアラートに気づき始めるが、その頃にはもう家庭の中だけが自分の居場所ではなくなっているため、「ま、いいか。毎日忙しいし子供に責任あるし」とアラートに気づてしまっている自分をごまかしはじめる。
子供にはお金がかかる。小さい時もかかるが大きくなったらもっとかかる(教育費)。本能アラートに気付いている男女共がお金の調達に必死になり、「ま、いいか。忙しいし」で日々が過ぎていく。

 子供もやがて大人になる。めでたく親元から巣立っていく。男女はようやく再び自分を振り返る余裕を持ち、本能アラートと対峙、そして「自分は幸せじゃない。これじゃいけない」と気づく。

 それが熟年離婚。