はじめまして。2018年度、川崎で「こくご」を中心にした塾を創業予定のMSです。塾では、思考・発表・文章にすることを軸として、ディベート・俳句・アクティブラーニング・ビブリオなどを取り入れます。ブログは毎日発信しています。体験したこと、考えたことを文字で表現することは、「こくご」です。

 

こくごレストラン今日のお話は、[夫婦のあり方]

 

今日は土曜日なので、本の紹介をしようと思います。今回はこの本です。

▲「妻に捧げた1778話」(眉村卓著・新潮新書)

 

本の下部にあるように、「アメトーク」本屋で読書芸人という番組で、メイプル超合金のカズレーサーさんが紹介されたそうで、話題になっていた本です。その番組を見ていた次男が、読んでみたいと言っていました。次男には、読み終わったら貸してあげます、と約束をしています。次男は小説が好きで、よく本の貸し借りをします。前回、「君の膵臓をたべたい」を借りて読んでいたのですが、この本は何故か進んでいません。早く返却しないと叱られそうです。

 

さて、私がどうしてこの本を手にすることにしたかというと、偶然書店で店頭にあり、少し読んでみたことがきっかけです。作者の奥様が余命宣告をきっかけに、奥様に向けて、毎日短い物語を書くことにした作者の作品と、注釈で成り立っています。作品は、後日出版してもいいクオリティーにすること、どこか日常と繋がっていること、病人の神経を逆なでしてはいけない、固有名詞はアルファベットにする。などの決まりをつくります。

 

作者はSF作家でした。本を読んでからあとがきで知りましたが、「ねらわれた学園」の作者でした。「ねらわれた学園」は。1973年の作品。私が知っている映画やドラマは角川事務所のなだたる女優さんが演じており、当時新しい感覚のものでした。映画になったのは、先品が作られてから10年経過しているので、1973年当時は斬新な作品だったことでしょう。

 

奥様に向けて書かれた作品ですが、そんな前書きがなくてもとても面白く不思議な作品になっています。作風は、「世にも奇妙な物語」でとりあげられるようなものが多いです。

「古い硬貨」というお話をご紹介します。切符の券売機で、返却される硬貨。どうしてだと、帰宅してよく見ると、アルファベットがAからはじまりEまで彫られている。そこで主人公は、この硬貨をどうするか考えます。そもそも、この文字は1人の人が彫ったものなのか?それとも次にこの硬貨を手にした人が続けたものなのか?

といったお話です。奥様にむけて書かれていますが、短編で少し考えさせられる物語です。

 

私はこの作品を読んで泣くことはありませんでした。いくつかお話が載っていて、その後に物語の注釈があります。そこを読んでいると、夫婦の有り方を考えさせられました。