- 時雨沢 恵一, 黒星 紅白
- キノの旅―The beautiful world
キノが行く先々にはさまざまな「国」が待っている。
キノが旅をするそれぞれの「国」は、それぞれの価値観に基づいて
作られて運営されている。その価値観はとても極端であったり、本
能的であったりもする。
その旅の過程は、さながらガリバー旅行記を読んでいるようにも思
えた。ただその世界観は現代のRPGゲーム風に、あるいはSF風に
アレンジされているので好き嫌いははっきり出るように思う。またガ
リバー旅行記ほどの政治的な風刺性はない。むしろ現れるのは人
間のまとまった特定の姿である。キノはほとんどの場合、それを評
価しないでただ通り過ぎる。
読み手の側はこれに不透明感のようなものを感じるのかもしれない。
あるいは勧善懲悪の世界観とは違うという違和感を感じるのかもし
れない。だがそれがこの本の見せる現実であると思う。
若いうちに異文化を経験するべきだ、国際交流するべきだと、言っ
たところで実際には多くの人がそういった経験が出来るわけでは
ない。費用がかかる。機会がない。
個人的にはこういった本こそ、教育の現場で使ってみたらどうだろ
うか?と思う。
純文学ではなくライトノベルでこういった本が出るところが、日本に
おけるライトノベルの面白さでもある。とても面白かった。