今日はこどもの日。
幼稚園教諭だった頃、毎年、4月後半から鯉のぼりをあげる担当でした。
埼玉県加須市に日本唯一、手描きの鯉のぼりを作る橋本弥喜智商店があり、そこの鯉のぼりは昭和天皇にも献上されています。
幼稚園の2代目鯉のぼりの作成のために、私は橋本商店に通い、作業場で職人さんの熟練の技を見せていただく貴重な体験をさせていただきました。
鯉のぼりの鯉は、中国の故事『登竜門伝説』に由来していて、
龍になる直前の鯉なのだと教えていただきました。
橋本商店は、2016年に閉店しており、日本の手描き鯉のぼりの幕が閉じてしまったんだなと寂しく思います。

コロナ禍、あの鯉のぼりはどうしているんだろう。
 そして、幼児教育はどうなっていくんだろうと、こどもの日に思っています。

眼差し、飛びついてくる強さなどに、言語以上に子どもの本当の気持ちが表れていました。
 webで、かえってより良くなることもあれば、 webでは代われないことがある。
患者会活動も同じです。
コロナ禍であることは変えられないのだから、その中の最善を考えていくけれど、いつか、それに慣れて、本質が見失われてしまわないように、常に心に刻んでおきたいなと思います。

教育といえば、【9月入学】の声もあがっています。

我が子は12月生まれで、海外の大学に行きました。
高校を卒業してから入学までと、大学を卒業してから就職までにラグが生じました。
親からすれば、12月生まれがこんな風に影響しちゃうんだと不安になりました。
でも、振り返れば、その時間だからこそ出来たことも、いっぱいあったとように思います。
ピンチじゃなくチャンスでもありました。

海外と揃うのはいいこともありますが、今、こんな状況だからという理由ではなく、『本質的にそれが教育としていいのか』を考えて変えるものであって欲しいと願います。
不安定な状況は、判断にも少なからず影響を与えます。本質的変換への好機ならいいですが、勢いはこわいなと考えています。

今、何よりも心配なのは、学び、人と接することが減り、もしかしたら家庭内で恐怖を感じているかもしれない子どもの日常です。
そちらを優先して考えて欲しいなと見つめています。

9月入学にすれば留学が増えるかもという意見もあります。
我が子たちの留学で感じたのは、グローバルに生きていくのに必要なのは語学力ではなく『適応力』『思考力』『何でも食べられるか』『まったく考えが違う人たちがいることを受け入れられるか』ということでした。

さらには、『日本を誇れるか』『日本について語れるか』『世界情勢を語れるか』『日本の歴史を知っているか』が、世界で生きていく日常で問われるかを知りました。
息子はリトルリーグから高校野球まで、暮れと正月以外は野球をし、英語の成績は惨憺たるものでした。
熱中症で身体に大きなダメージを受け、文化祭も修学旅行も遠征で参加していないような彼が、グレるんじゃないかと蹴飛ばすように行かせた学校からの3週間の語学研修。
成田で私たちを睨んでいた彼は、帰ってきて私たちに『イギリスに行かせてください』と土下座したのです。
理由。
『日本人なのにゲーム機を持ってこなかった。何でも食べられる。どこでも寝られる。下手くそな英語だけれど、伝えようとする。君は素晴らしい!』と言われたからです。
ヒットを撃つか、ファインプレーをしなくては認められない世界にいた彼は、人としての存在を認められ、単純にイギリスに恋をしてしたのが留学のきっかけでした。

現在でも、日本の中に9月入学を取り入れている大学もあるわけで、コロナ禍とは無関係に、それが良いと思うなら、その学校が変えていけばいいんじゃないかなとも思います。

それは、この3月の、学校が休校措置を取るかどうかでも感じました。
知事に言われたからではなく、状況を考えて判断することだと思うし、親も学校がやっているから行かせなくちゃいけないと思わず、我が子のために何がベストかの視点で考え、行動すれば良いのになと。

大人の姿を子どもたちは見ている。その姿こそ教育なんじゃないかなと思ったりします。

教育現場を離れ、我が子は社会人であるし、外野から言うことじゃないとも思いますが、ある経験を思い出すのです。

ある時から『平等』が盛んに言われるようになりました。
その頃から、「うちの子はアレルギーがあるから、幼稚園で牛乳を飲むのを一斉にやめて欲しい」「動物園に遠足に行くのはやめて欲しい」などの声が届き始めたのです。
もちろん、アレルギーには細心の注意を払います。
そこに、『一斉に』が要求されるようになってきました。
平等とはなんなのかを深く考えました。

『劇の主役を作らないでほしい』
『かけっこは手を繋いでみんなで』

一方、親の海外赴任先のフランスから帰ってきた一家から面白い話を聴きました。
フランスの幼稚園で、滑り台を滑りたい列にちゃんと並んでいたら、先生に『あなたは、なんでそこにずっと居るの?』と注意されたというエピソードです。

こどもの日
鯉のぼり、年度、グローバルに生きること…
とめどなく頭に浮かんできてしまいました。

こういうことを
『お呼びでない?…
お呼びでないね。
こりゃまた失礼いたしました!』って言うんだろうな。
(わかる人にはわかる…古っ)

※写真は、ネットに出ていた橋本弥喜智商店。懐かしい。職人の素晴らしさを見せていただきました。