茶柱豆子の小説 -2ページ目

茶柱豆子の小説

ちょっと小説読んでかない?





 翔太郎が、万が一本当にハタナカメイにふざけて告白したとしても、彼女がよく知りもしない彼を受け入れる訳がないと思った。

 ところが、だ。

 二人は突然恋人同士となって現れた。

 彼女は頬と耳を赤くしながら、まんざらでもない表情に見えた。

 翔太郎のことを何も知らないくせに、なんで? この子、誰でもよかったの?

 この子ただの男好き?

 私の頭は怒りと悲しみで爆発寸前だった。

 体育館にいたみんなが、翔太郎と彼女に注目していた。

 私は、ハッとした。

 夏央は?

 バスケットコートを見ると、夏央が裏口から去って行くところだった。

 レンと友哉もそれを見て、二人で顔を見合わせて気まずそうな表情だった。

 すると、その場から離れた翔太郎が私の方に歩いてきた。

 「なあ、石川、オレ彼女できたー」

 翔太郎はニヤニヤして自慢げにそう私に言った。

 私は何も言えなかった。

 無反応な私を見て、彼は横を通り過ぎ、去って行った。


 私はその後、レンと友哉に駆け寄った。

 「本当に告白したの?!」

 私の剣幕に二人とも少したじろいで見えた。

 「あいつ突然告白するって言い出してさー」

 「いつの間にか大人数になっちゃったし、悪ノリしたかも」

 「多分、あの子断れなかったっぽい」

 と、少しの罪悪感を見せた。

 そして、

 「面倒じゃね?好きでもないのに」

 「夏央可哀想」

 「いみわかんね」

 と続けた。

 私はため息を落とした。男子の頭の悪さには本当にげんなりする。みんな馬鹿すぎる。

 夏央が、今どう思っているのか、キレたりしないのか、なんならキレて翔太郎を殴り倒して構わないと思った。夏央のことを心配していたが、ハッとした。

 もしかして、私はもう翔太郎から必要とされないのかもしれない、と。

 いつも彼から、連絡がきていた。今から行く、だったり、今から来て、と。その度に私は嬉しくて嬉しくて舞い上がっていた。用が済めば冷たくされたが、それでも良かった。一緒にいられたら、それだけで幸せだったから。

 翔太郎が、これからはあの子とそういう関係になるのかと想像したら吐き気がした。頭と胸が不安と痛みでパンパンになった。これを吐き出したい、と慌ててトイレに駆け込んだ。が、何も出なかった。私は喉に手を突っ込んだ。出たのは胃液だけだった。苦しくて苦しくてどうにかなってしまいそうだった。

 私はトイレで座り込み、泣いた。






つづく