スピッツ『名前をつけてやる』

多分、スピッツの中で一番好きだと思う。
本当個人的な思いだけど、草野マサムネが一番本気を出してるのは初期の3枚のフルアルバムだと思う。
いや、間違いないだろう。
今の国民的バンドになったスピッツと比べたら下手だし、田舎くさい感じは否めない。
本人達によればこの時期はインディーズの延長戦の気持ちに近く、
売れるとか全く意識せず作ったみたいだし(実際ランキングは100位以下だったみたいだし)。
が、マサムネさんは才能あるけど、天才肌ではない。
あっと驚く突飛なこともしないし、冒険も好まない(多分できないんだと思う)。
慎重に慎重にメロディーと言葉のチョイスに気をつけて世界観を作ってく努力タイプだと思う。
「売れる音楽」とか意識し出すと、照れ屋なのかどうなのか知らないが、どうも直球過ぎな曲を作ってしまう。
メロディーも良いし、悪くはないんだけど、正直何回も聴きたいとは思えない。
その点、初期の三作は何回聴いたか分からない。

名前をつけてやる 残りの夜が来て
むき出しのでっぱり ごまかせない夜が来て
名前をつけてやる 本気で考えちゃった
誰よりも立派で誰よりもバカみたいな

“名前をつけてやる”

多分…っていうか、絶対セックスの唄だ。
「むき出しのでっぱり」
「ふくらんだシャツのボタンをひきちぎるすきなど探しながら」
多分思春期だ。
初体験だ。
「これで俺とお前の子供が出来たらどうしよう。
どんな名前がいいかな?偉そうでバカみたいなのがいいな」

…っていう妄想を膨らましやすい歌詞が多い(でも、歌詞は個々の解釈だからあんまり書かないけど)。
他の曲も想像力使えばいくらでも解釈できると思う。

「レモンの香る湖に飛び込んだ君の背中」とか
「夏蜘蛛になった」とか
「猫の顔でうたってやる」とか

急にハッと想像力を掻き立てる言葉を絶妙に入れてくる。

バンドサウンドでの中心はギター。でも、ベースとドラムの安定感は初期から安定してる。
歌詞と相まってひねくれたこのアレンジも堪らない。

まめ