こんにちは!

第3回のコラムは「平成21年度相続税路線価発表 ~本当に注目すべきものは~」です。


今月初めに平成21年度相続税路線価(以下「路線価」)が発表され、

平成20年度と比較すると全国的に路線価が下がりました。

(全国平均▲5.5%、東京圏▲6.5%、東京都▲7.4%、東京都区部▲7.7%、

神奈川県▲3.8%、埼玉県▲3.9%、千葉県▲3.7%)

なお、平成18年度路線価から平成20年度までの3年間は上昇し続け(東京圏)

たので、今回は大幅な下落といえるのではないでしょうか。

※詳細は下記の国税庁HP平成21年分標準宅地の評価基準額の平均額等の状況(圏域別)」参照ください※

http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2009/rosenka/01.htm



この路線価、「上がったり・下がったり」していますが、そもそもどんな方々に

影響しているのかといいますと、主に相続税が課税される方々に影響しています。

(つまり、地主さんなどの不動産を多く持っている方です)


この路線価による相続税への影響としましては、

路線価が下がれば、相続税も下がる。 

路線価が上がれば、相続税も上がる。

単純に言うとこのように影響します得意げ


次に納税財源を確保することに対してどのような影響があるのでしょうか。

一般論ですが、不動産市況も踏まえ例を挙げてみたいと思います。


(1)不動産市況が活況で不動産取引価格が上昇基調アップ路線価も前年より上昇アップ

(近年では平成18年や平成19年夏くらいに相続が発生した場合)

→路線価よりも、不動産取引価格の方が高く買い手も多いため、

売却する方が物納よりも納税財源を確保する手法として効果的でした。


(2)不動産市況が低迷で不動産取引価格は下落基調ダウン路線価は前年より上昇アップ

(平成20年に相続が発生した場合)

→不動産取引価格よりも(買い手少ない)、路線価の方が高かったため、

物納する方が売却よりも納税財源を確保する手段として効果的でした。


(3不動産市況が低迷で不動産取引価格は下落・横ばいダウン路線価も前年より下落ダウン

(今年相続が発生した場合)

→不動産取引価格と路線価がエリアによっては横ばい又はどちらかが高いという

状況のため、納税財源の確保の手段として、売却か物納などを比較検討し選択する

必要があります。


上記の例から、路線価が【上がった・下がった】だけに捉われず、

不動産市況も把握しておかないと、結果として想定した納税財源を確保することが

できなかったり、さらには納税財源を確保すること自体が難しくなってしまうかもしれません。
<売却>や<物納>を実行する場合、

各々準備が万全整っていない限り、相続発生日又は相続の開始を知った日の翌日から

10ヵ月後の相続税申告期限まで、以外にタイトなスケジュールであり

最悪、納税財源を確保することが間に合わないなんてこともあり得ますガーン

(売却準備項目の一部…売却物件の選定、売却活動、買主選定、契約、決済)

(物納準備項目の一部…物納物件の整備、必要書類用意、物納申請、審査、収納)



ですので、路線価が発表され、ただ路線価の上げ下げだけに注目して、

相続税が下がったニコニコ上がったしょぼん一喜一憂するのではなく、

もし【いま相続が発生したら】を想定した場合、今後どうやって納税財源を確保していくか、

また売却や物納するにしてもきちんと準備が整っているかどうか確認することが重要です。

生前の相続対策をしっかり行い準備しておくことが肝心なのではないかと思います。


また、相続税の改正についてすでに議論が始められています。

今まで関係のなかった方々も、今後は相続税納税の対象となる可能性がありますから、

路線価や不動産市況、そして税制改正についてもウォッチしておきましょうサーチ

※下記の国税庁HPに相続税の課税方式に関する一考察」がありますので、ご興味のある方は見てください※

http://www.nta.go.jp/ntc/kenkyu/ronsou/57/05/hajimeni.htm



あれこれと書きましたが、伝えたいことを簡単に表現しますと、

「備えあれば憂いなし」です。

※ことわざの意味:日頃からきちんと準備をしていれば、万一の事が起こっても心配することはないということです。


では、次回もお楽しみに



プロサーチ株式会社

松尾