著:香月日輪
完読日:2016年5月23日
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あらすじ
岬にたたずむ黒い塔。まるでお化け屋敷のようなその塔は、鎖と南京錠だけで封印されているはずだった。だけど、ある日、塔に行ってみると、そこには、僕が生まれる前に亡くなったおじいちゃんが住んでいた!
しかもその塔には、もっと驚く秘密もあって……!?
幽霊のくせに(だからこそ?)ヘンテコなおじいちゃんとの出会いが、僕の決まりきった生活を変えていく――!!
運命を変えられた僕のびっくりするような毎日がはじまった!!
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感想
2016年26冊目の完読本。
香月さんの作品では「妖怪アパートの幽雅な日常」で知り小説や漫画を読んだことがあり、今回は「僕とおじいちゃんと魔法の塔」を読みました。
2つの作品の共通点が妖怪・幽霊だという事。香月さんはオカルト系が好きなんでしょうか?だけど香月さんの作品は怖いとか恐ろしいって感じの作品じゃなくて面白い感じの作品なのでスッと読めます。
主人公の龍神は弟と妹と父と母の5人家族。
龍神は『いい子』とはなんだろう?と考える。龍神の両親にとってのいい子とは「自分たちのいう事をよくきく子」がいい子で聞かない子は悪い子だと考えた。
龍神も弟の和人も妹の晶子も両親にとっては「いい子」の部類に入る子供達。
だけど、いい子とは何かと疑問を持った龍神は両親の思ういい子からかけ離れていく。
〇父・功が必要ないと思う芸術関係の仕事に将来つきたいと言う
功の父・秀次郎は彫刻家で昔住んでいた家には画家や小説家などのいわゆる変わり者が住んでいた。功は秀次郎の事が好きではなく、秀次郎か職業としていた「芸術」というものが嫌いになる。龍神が秀次郎と出会い塔に行くようになってある本に出会いスケッチをするようになり、家族の前で「将来画家になろうかな」というと功は機嫌が悪くなり、母はそんなふざけと事をいうんじゃないと龍神を叱る。
〇足に障害を持つ生徒がいるからと運動会の徒競走の順位をつけることに反対した龍神
事故で足に障害を持ってしまった信久の母親が有名人で学校に「息子は足が悪いから徒競走ではビリになってしまう。だから徒競走の順位をつけるのを辞めてくれ」と言ってきた。それに対し学校側は賛成をし、本番は皆で手を繋いでゴールをすることに。これに対し龍神は『はたして皆で手を繋いでゴールすることは信久の為になるのか。信久は嬉しいのか』と疑問を持ち、自分は反対だと言う。すると女子に龍神くん酷いと言われクラスの皆からイジメを受けてしまう。母に事情を説明しどう思うかと問うと母は龍神が悪い、と言う。
〇ここは自分の居場所じゃないと塔に住むと言い出す
秀次郎と出会い、善と悪、自分の思いというものに気づいた龍神は家を出ることを決意。もちろんそんなことを許さない功。家を出て塔に住む龍神のもとへ行き「家に戻ってこないなら俺は今後一切お前の学費も何も払わない」と言ってきた。
1つめと3つめは龍神とその家族の全てが分かる問題。
家族全員が功(父)の言う事は絶対だと信じ何の疑問を持つことなく今まで過ごしてきたのが分かる。龍神が将来は画家になりたいって言った時も家を出たときも家族はそれに反対した。
作中でも、功は家族を自分の“モノ”にしたい。とあった。
将来は功と同じ福祉関係の仕事じゃないとダメだったり、自分のテリトリー内にいないと縁を切ると自分の子供の頃に家を出たのに龍神を自分の手元に縛りつけようとしたり。
2つめの障害を持つ子との運動会問題。
私は保育園から中学校までの間、何人もの障害児と関わってきました。同級生に車いすに乗った女の子がいて、先輩・後輩には自閉症やダウン症、視覚障害に聴覚障害の子がいました。
小学生の時は年に2回程近くの特別支援学校の人たちと交流会をしたりと交流を持ってきました。
でも、私の通った保育園や小学校の運動会では手を繋いでゴールなんてものはありませんでした。もしかしたらその子の両親が信久のお母さんみたいに順番を付けるのを辞めてくれと頼んでいたかもしれませんが無かったという事は学校側はそれを受け入れなかったということでしょうか。
龍神の信久の為になるのかという疑問は私は考えもしないでしょう。信久の為だと手を繋いでゴールすることに賛成し反対した龍神をイジメるクラスメイトよりも皆から酷いと思われようとも反対した龍神が私は優しい子だと思いました。
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