ソフトバンクの借金はすごい、という話は投資や経済に詳しくない人でも何となく知っている話です。
実際に、抱える負債は13兆円を超えていて、もはや天文学的な数字です。
新聞各紙が政府の負債を例える時の、給料○○万円あって借金が○○万円あるから破綻する類のやつです。
しかし、ソフトバンクの孫さんは2019年3月の決算発表会で謎の数字を示し、ソフトバンクの健在ぶりをアピールしました。
「25-4=9?」なんぞや?
小学校の算数のテストなら確実にバツが付くところですが、この数字がソフトバンクの価値を示しているそうです。
つまり、保有するアリババやスプリントなどの資産25兆円からソフトバンクが抱える純負債4兆円を引くと、当時の株価9兆円(2019年6月段階では11兆円)はおかしいよね?もっと株価が高くてもいいんじゃない?という言葉遊びです。実際、この説明会で6000億円の自社株買い(株価が適切でない際に企業が行う戦略の一つ)を行い、9兆円から現在の11兆円まで株価が上昇しております。
同じ会見で、こんなスライドも出しています。
ビジョン・ファンドなどの保有株式の価値を考えると、現時点での株価は安いと考える事もできます。
実際、日本のファンドや投信などでも構成銘柄の中でソフトバンクを上位に組み入れている所もあります。
では何故、ソフトバンクの株価はここまで低評価なのか?と言うと、投資の世界では「コングロマリットディスカウント」という言葉があります。
「コングロマリット」とは何かというと、ソフトバンクのように傘下に異業種を含め様々な会社を抱える企業体の事です。
「コングロマリットディスカウント」とは、このような企業は株式の世界では本来の価値より低く評価される事です。
その理由はここの投資家に様々ですが、要約すると・・
この会社めんどくせぇな!という事ですね。
例えば、ソフトバンクの場合は傘下に「Yahoo」「スプリント」「ソフトバンク(国内の携帯事業)」さらに、ビジョン・ファンドでは「ウーバー」「ウィワークス」を筆頭に数十社を超えます。さらにさらに、複雑なデリバティブに加え社債の発行。この全てを把握する必要があります。ビジョン・ファンドについては、サウジやAppleといった出資者との関係。最近では、保有するウーバーのIPO不信で株価が下落しましたが、どこか一つでも爆弾が爆発するだけで株価が下落する危険性があるわけです。
投資家は考えるわけです・・。
もっとシンプルで儲かる企業があるんじゃない?と・・。
まぁAppleかもしれませんし、Amazonかもしれませんね。
なので、コングロマリットはディスカウントで取引されるわけです。
サウジとイランが戦争になりました、とか言ったらそれは個人の投資家ではどうには出来ませんし、株価にどう影響が出るのか分かりません。最近では、アメリカによる中国への関税戦争がありますが、ソフトバンク1社に投資するのにそこまでチェックする必要があるわけです。
あくまで23兆円の株主価値は孫さんが言っているわけであって、最終的には市場次第です。
(※投資は自己責任ですし、ソフトバンクの時価総額が23兆円になる事を確証するものでもありません。)
↓↓もし、この記事が面白かったら、ぜひペタを。フォローなんかして頂けると、もっと嬉しいです。