踏切で信号が変わって列車が止まった
あぁたまには止まるのもいいもんだな
ずっと流れるだけだった景色が
今この間だけはじっくり見れる
誰も通らない踏切で列車は律儀に
信号が変わるのを待ちぼうけてる
突然の車内アナウンスが入った
どこかの列車で急病人が出たと
気の毒だなぁと思いながらも
そろそろ発車して欲しかった
随分とこの踏切で止まっている
もう此所の景色にも見飽きてた
聞き流してたアナウンスをちゃんと聞く
するとどうやら急病人はこの車両らしい
辺りを見渡してもそれらしき人は無い
1つだけ考えられる可能性はあるけど
それを認めたくはなかったから否定した
その可能性とは私が病気であるという事
線路はずっと先まで続いているのに
私はこの踏切でずっと待ちぼうけて
次から次へと駅を通過してた事が
もはや懐かしく思えてしまう位に
時速0kmでここに佇んでいる事態
こんなことは想定外の急停車だった
私は気付いたというより知っていた
この列車も線路も踏切も私の人生だ
そして病気になってる私は車掌だ
この列車が終着駅に着くまでの間
自分という列車を最後まで乗りこなす
それはこの人生にあたえられた使命だ
駅でもないこの線路の途中の踏切で
凄く中途半端な場所ではあるけれど
自分をメンテナンスしよう
ゆっくりでいい待って貰う
状況と向き合って逃げ出さずに
次の出発進行を準備していこう