管理栄養士国家試験過去問解説17 | 管理栄養士国家試験と研究と私

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おはようございます音譜

9月2日、げつようび、朝の管理栄養士国家試験過去問解説をお送りします得意げ

今日も見た目がちょっとイカツイ問題ですが、
見た目にやられず、チャレンジしてみましょう!

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胃切除後の合併症とその原因についての組み合わせである。
◯か×か?

骨粗鬆症 ーーー 二次性副甲状腺機能亢進症
悪性貧血 ーーー キャッスル内因子の欠如
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むむむむむっ!!
「なんだ、意外にやさしいじゃん・・・得意げ
と思った方も、
「見た目通りだし!!」
と思った方も、しっかり確認しておきましょう。


正解は・・・
(1)◯
(2)

です!!!

◯(1)まず、胃をとったのと、骨粗鬆症って関係あるの?と思いますね。

実は、胃酸分泌されないと、カルシウムの吸収悪くなってしまうんです。
胃をとってしまうことで、胃酸が分泌されなくなり、カルシウムの吸収率が低下する。そうとわかれば、骨粗鬆症になるということもわかりますね。
(ちなみに、胃酸は鉄の吸収にも必要なので、胃をとると、鉄欠乏性貧血にもなります。)

そして、そして!さらに骨粗鬆症と副甲状腺機能亢進症の関係まで出てくるんですから、この問題はやっかいですよね。


実は、血中のカルシウム濃度を保つことがすごく大事なんです。
カルシウムの吸収が低下すると、血中のカルシウム濃度が低下してしまいます。それを補おうと、血中のカルシウム濃度を上げなきゃ!あげなきゃ!と副甲状腺からパラトルモンが分泌されます

パラトルモンは、副甲状腺から分泌されて、血中のカルシウム濃度を上げるホルモンです。
(ちなみに、血中のカルシウム濃度を下げるのは、甲状腺から分泌される、カルシトニンです)


つまり、胃をとってカルシウムの吸収率が低下すると、
カルシウムの吸収率が低下したことにより血中のカルシウム濃度が低下しないように、副甲状腺からパラトルモンが分泌されて、血中のカルシウム濃度を上げて恒常性を保つ・・・ということです。

この問題では「二次性」副甲状腺機能亢進症と書いてありますが、
胃をとったことによって、二次的に副甲状腺機能亢進症が生じるので、
「二次性副甲状腺機能亢進症」なんですよ。

頭がこんがらがってしまったでしょうか?
1度読んでわからなかったら、まずは
カルシウムの吸収には、胃酸が重要なんだ!
②副甲状腺ホルモンのパラトルモンは、血中のカルシウム濃度を上げる
など、個々の暗記から初めてみると良いですよ


×(2)胃を切除したことによる悪性貧血は、キャッスル因子の欠如により生じます。

悪性貧血は、ビタミンB12の欠乏によって生じる疾患です。
胃からは、キャッスル因子が分泌されていて、このキャッスル内因子が、ビタミンB12の吸収に必要なので、胃を切除するとビタミンB12の吸収ができず、悪性貧血になる・・・ということです。


先週の問題も合わせて簡単に復習してみましょうひらめき電球
胃を切除すると、
①胃がなくて一気に食べ物が十二指腸におちていってしまうから、
早期ダンピング症候群や後期ダンピング症候群になる
胃酸が出なくなるから、カルシウムの吸収率が低下して、骨粗鬆症のリスクが上がる。
胃酸が出なくなるから、鉄の吸収率も低下するから、鉄欠乏性貧血のリスクも上昇する。
③胃から分泌されるキャッスル内因子がでなくなるので、ビタミンB12が吸収できなくなり、悪性貧血が生じる。

こんなにいろんなことが起こります。
胃ってすごく大事ですねメラメラ

では、今日の管理栄養士国家試験過去問解説は、おわり!

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