
先週の土曜日に行われた講座、それから、今週の土曜日に行われる講座は、こんな感じです

では

早速問題を解いてみましょう

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リポたんぱく質とその代謝に関する記述である。正しいのはどれか。
(1)アポたんぱく質Bは、HDLの主な構成たんぱく質である。
(2)VLDLの主な合成の場は小腸である。
(3)LDLの主な脂質成分はトリグリセリドである。
(4)コレステロールエステル転送たんぱく質は、コレステロールをエステル化する。
(5)リポたんぱく質リパーゼは、トリグリセリドを加水分解する。
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どうですか?解けましたか?
この問題は「簡単」な問題、合格点を目指すなら間違えてはいけない問題です。
(1)と(4)の問題文を読むと「げっ?何だったっけ?」
なんて思うかもしれませんが、正解は明らかに(5)です。
では、まずはリポたんぱく質とは要するに何か?というお話からです。
リポたんぱく質とは、要するに、
血液中で脂質(トリグリセリドやコレステロールエステル)を
運ぶカプセルです。
血液って基本的には水っぽいですよね?
この水っぽい血液中に脂質が存在するためには、
脂質を水になじむようなカプセルに入れておく必要があるんです。
じゃないと脂質と血液が分離してしまいます。
ところで、私たちの身体の中にある脂質はどこからやってくると思います?
まさか、空気中からやってくるわけありませんよね?
私たちの身体の中にある脂質は、
「食事からやってくる」か「肝臓で合成されるか」のどちらかです。
この「食事からやってきた脂質」と「肝臓で合成される脂質」を
運ぶカプセルがそれぞれ異なるということを覚えておきましょう。
食事からやってきた脂質は、
キロミクロンというカプセルに包まれて、血液中を運ばれます。
つまり、キロミクロンの合成の場は小腸です。
そして、肝臓で合成された脂質は、
VLDL(超低密度リポたんぱく質)というカプセルに包まれて、
血液中を運ばれます。
つまり、VLDLの合成の場は肝臓です。
ここでいう「脂質」とは主に
「トリグリセリド」だと理解しておいてください。
ここで(2)が誤りであることがわかりますよね。
VLDLの主な合成の場は、小腸ではなくて肝臓です。
小腸で合成されるのはキロミクロンですよね。
あ?トリグリセリドって何かわかりますか?
トリグリセリドは、グリセロールと脂肪酸3つがエステル結合したもの。
私たちが良く目にするトリグリセリドは、サラダ油やお肉の脂などです。
ちなみに、皮下脂肪や内臓脂肪もトリグリセリドです。
キロミクロンに話を戻します。
キロミクロンの特徴は、大きくて軽い(密度が小さい)ということです。
VLDLは超低密度リポたんぱく質の略ですが、
この超低密度リポたんぱく質(VLDL)よりも、
大きく軽いのがキロミクロンです。
このキロミクロンもVLDLもトリグリセリドを運ぶカプセルですよね。
しかし、トリグリセリドが、ただただ血液中を運ばれているだけでは、
なーんの役にも立ちません。
ですから、キロミクロン中のトリグリセリドも、
VLDL中のトリグリセリドも、
そのうち細胞に受け渡されるわけです。
その時に活躍する酵素が「リポたんぱく質リパーゼ」という酵素です。
この「リポたんぱく質リパーゼ」という酵素は、
毛細血管上に存在していて、
リポたんぱく質(キロミクロンやVLDL)中のトリグリセリドを加水分解して、
細胞に供給するのに役立っています。
はい。ここで(5)が正解だということがわかりますね。
続けます。
「加水分解」という言葉にちょっと焦るかもしれませんが、
国家試験で問われる分解のほとんどは「加水分解」ですので
安心しておいてください。
ただ、グリコーゲンの分解だけは「加リン酸分解」ですので
覚えておきましょう。
本当はここでグリコーゲンの話にいきたいところですが、
今日は、さすがにそこまでは話せないですね…ごめんなさい。
話を戻します。
キロミクロンやVLDL中のトリグリセリドが
毛細血管に存在する「リポたんぱく質リパーゼ」によって分解されて
細胞に受け渡されると、
トリグリセリドを失ったキロミクロンとVLDLは、それぞれ、
キロミクロンレムナントとLDLというように名称を変えます。
まとめますよ。
キロミクロンはリポたんぱく質リパーゼの作用で
キロミクロンレムナントになる。
VLDLはリポたんぱく質リパーゼの作用で
LDLになる。です。
ここで(3)が誤っていることが明らかになりますね。
VLDLからトリグリセリドが引き抜かれたものがLDLなのですから、
主な脂質成分はトリグリセリドなわけがありませんよね。
では、LDLの主な脂質成分は何なんでしょうか?
それは、コレステロールエステルです。
先ほど、キロミクロンもVLDLも
主にトリグリセリドを運んでいると説明しましたが、
実はVLDLは肝臓で合成された脂質を運ぶため
(肝臓ではトリグリセリドだけでなくコレステロールも合成しています)、
トリグリセリドだけでなくコレステロールエステルも一緒に
運んでいるんですよ。
このコレステロールエステルというのは、
コレステロールに脂肪酸が1つ結合したものです。
私たちの身体の中のコレステロールの多くは、
コレステロールエステルの形で存在している、
ということも覚えておきましょう。
今日はここまで、続きは明日です

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