相談

不妊治療を始めて３年半です。タイミング法、人工授精を経て、先日、採卵５回目にして初めて念願の凍結胚盤胞を移植しました。しかし、化学流産になってしまいました。その周期は、移植７日目でのＨＣＧが40未満で、再検査を繰り返し、約３週間の間にＨＣＧが微増する状況でした。

主治医からは、良好胚にも関わらず着床しなかったことや、ＨＣＧの上がり方が気になるといわれ、次の移植を行う前に、腹腔内の炎症や卵管留水腫、卵管癒着などを調べるため、腹腔鏡を強く勧められています。実施後は、胚盤胞の着床率が上がること、また自然妊娠も可能になるなどメリットを説明してくださいました。

私は、受精卵のグレードが基本的に悪く、グレード３のものが一番良いものです。また受精障害もあり、胚盤胞到達率も良くありません。受精卵をムダにしないためにも、腹腔鏡を実施した方が良いと考える一方、手術でもあり、デメリットもあることを理解しています。また、胚の染色体異常の可能性も鑑みて、もう一度移植をしてみてからの判断でも良いかなとも感じております。腹腔鏡検査は、本当に必要でしょうか？

手術をするためにご紹介いただいた病院では、個室しかなく、差額ベッド代だけでも５日間の入院で15万円を超えてしまいます。そこで、紹介状がなくても手術が受けられる一般の病室がある病院も探しております。先生にもこの点を相談いたしましたが、通常の病院では検査目的の腹腔鏡はまず受け付けてもらえないとのことでした。

不妊治療は大変お金が掛かりますから、まずは医療の部分を最優先にお金を掛けていきたいと考えております。

お返事

現在の状況から、腹腔鏡検査を実施したほうがよい、これは必要な検査だという医師の判断を、まずは理解しましょう。

凍結融解胚移植をして、ｈＣＧの反応が出たということは、着床しかけたのでしょう。着床が完了し、妊娠成立せず生化学的妊娠（化学流産）になった要因は、多くは胚にあると考えられますが、もしかしたら子宮内にあるかもしれません。

そこで、それを明らかにする方法の１つとして、腹腔鏡検査があります。直接お腹の中を確認することができ、何か問題があれば、癒着剥離などの処置をすることができます。

また、「良好胚にも関わらず着床しなかった」ことから考えますと、可能性としてはＥＲＡ検査、ＥＭＭＡ検査、ＡＬＩＣＥ検査も候補にあるかもしれません。

ＥＲＡ検査は、子宮内膜着床能検査といって、着床に適した時期＝タイミングを調べることができます。その適したタイミングで胚を移植することで着床率があがるといわれています。

ＥＭＭＡ検査は子宮内マイクロバイオーム検査といって、子宮内の細菌の種類と量を調べます。いわゆる子宮内フローラの状態を調べ、その結果によって乳酸菌の割合を上げることで着床環境を整えます。

ＡＬＩＣＥ検査は、感染性慢性子宮内膜炎検査で、慢性的に子宮内膜炎を起こす細菌を調べ、治療をすることで着床環境を整えます。

この３種類の検査はどこの施設でも検査ができるということではありませんが、最近、多くの施設が取り入れている検査です。また保険診療とも併用できる先進医療なので、保険適用の条件が揃っていれば、実施している施設にて適用可能です。費用は、15万円前後になります。

高額になってしまいますが、可能性としては選択肢にあるかと考えます。

また、こうした検査のことも踏まえて、主治医と相談すると良いかもしれません。腹腔鏡検査を含め、他の不妊治療施設でセカンドオピニオンを受けてもよいかと思います。

腹腔鏡検査については、通院患者以外、また紹介患者以外は受けられないという施設もありますが、そればかりではありません。ただ、腹腔鏡検査後、現在の治療施設で不妊治療を続ける場合には、うまく連携のとれた施設であれば、より安全・安心でしょう。差額ベッドとなると、確かに高額ですよね。なかには、日帰りで受けられるところもありますので、よくご検討ください。

本コーナーは、不妊治療情報センターに日々寄せられる相談とそれに対するお返事を抜粋したものです。不妊治療で悩まれる方は全国に多くいらっしゃいます。私たちは、みなさまが少しでも不安や心配なく妊活や治療に臨めるように願っています。

【相談】腹腔鏡検査について迷っています。