今日は、「どうして不妊なのか？」について詳しく見ていこうと思います。

不妊症はどうして起きるの？

不妊症は、生殖年齢にあって子どもを望んでいる夫婦の約２割に起こると言われています。そう考えれば８割は自然な妊娠をしているわけですから、妊娠は簡単なことのようにも思えます。

しかし、妊娠するための条件を見ると、実は驚くほど緻密な工程を１つも欠かさず進まないといけない、と知らされるばかりです。それを思うと、不妊症が起こるのは、ある意味、仕方ないことのように思えます。

妊娠できないのはなぜ？を考えよう！

なぜ不妊症なのかを知るためには、妊娠する仕組みを理解するのがよいでしょう。そして、妊娠するために、どのようなことが体の中で起きているのかを知りましょう。その流れを図に示しました。

これらのことが、次々と順調に起きて妊娠が成立しているのです。その流れを確認していくことで、妊娠するための条件が見えてきます。乗り越えなければならないことも見えてくるでしょう。

妊娠の工程のどこに問題があるのだろう？

妊娠するためには、まず腟内に十分な精子が射精される必要があります。これは、夫婦で性交渉が可能であり、腟内に精液が射精されているかでわかりますが、精子の質（量や運動率、奇形率）に関しては検査で確認できます。

‌‌‌腟内に射出された精子は子宮頚管へと進みます。排卵５日ほど前から、頚管粘液の性状が精子を通す様になります。通過できているかは、排卵時期に性交後検査（フーナーテスト）をすることで確認できます。

頚管を通過した精子は、子宮から卵管を泳ぎ卵管膨大部までたどり着かなければなりません。そこで待つ卵子と出会い、受精するからです。

泳ぎ切ってたどり着く精子は数百個ともいわれています。次に卵子と受精して正常な受精卵になることができれば受精までは完了です。

一方、女性側は卵巣内で育った卵胞のうち、一番ホルモンに反応した１つから成熟した卵子として弾け、卵管采にキャッチされ、卵管膨大部で精子を待つことになります。この時、卵胞が順調に育っているかは、ホルモン検査や超音波検査から判断できます。排卵が起きたかどうかもホルモン検査や超音波検査から判断できます。

卵管采が確実に卵子を取り込んでいるかどうかは検査ではわかりません。その後、卵子と精子が出会い、精子が卵子と受精する能力を得て受精しているかどうか、正常な受精かどうかは子宮内のため検査で知ることができません。

子宮内膜の環境を整えるために、正常な黄体が形成されるかどうかはホルモン検査などから判断します。

受精したとして、卵（胚）が順調に分割成長し、子宮に運ばれ、胚盤胞となって孵化して子宮内膜に着床していけるか、着床するまでのことは検査ではわかりませんが、結果として着床したかどうかは血液検査で判断し、妊娠が成立したかどうかはホルモン検査や尿検査、エコー検査で判断します。

これらの経過を完了して妊娠は成立します。また、この経過のどこか１つにでも問題が生じれば妊娠できません。

妊娠した後に流産することもあります。不育症のケースもありますが、妊娠経過は定期的にしっかり妊婦健診を受け、安全な出産に向かいましょう。

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新刊紹介

今号の読みどころ

少しでも早く妊娠していただけるよう願いを込めて、不妊治療情報センターが発行する「i-wish...ママになりたい」シリーズの新作「不妊の原因」ができました。不妊の原因は人それぞれです。WEBの相談コーナーに寄せられる内容からも複雑な現状が感じられます。その思いもあり、今回は不妊の原因特集を組みました。

これから治療を受けられる方や関係する皆様にとって、少しでも参考となり、何か治療への取り組み方にもプラス変化が起きますよう、ぜひ、お読みいただければ幸いです。治療中の方も、今の治療がどういう理由で行われているかの判断材料となることでしょう。

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具体的な治療方法は通院先の先生に！ここでは、個人で知っておきたい妊娠出産への常識となるよう編集、将来的に結婚や出産意識が高まり、社会もまた出産育児環境を整える必要があるだろうことへのアドバイスとしても広く皆様にお読みいただきたい一冊です。

どうして不妊？