ウェーバーの「舞踏への勧誘」は「薔薇の精」というバレエでも知られていますね。バレエ・リュスのニジンスキーが初演したアレです。
もちろんニジンスキーバージョンは見たことがなく、現代の様々なダンサーのバージョンを見ましたが、中には忘れられないバージョンがあります。
1984年だったかな?ニューヨークのメトロポリタンオペラハウス100周年記念公演で、沢山のガラの中の1つに、リリアン・ギッシュとパトリック・デュポンの「薔薇の精」がありました。
リリアン・ギッシュは往年の大女優。当時90歳とかそのくらい。
デュポンは油の乗り切った、パリ・オペラ座出身の天才ダンサー。
通常、この小品バレエでは初めての舞踏会から帰った少女が、貰ったバラを見ながらうたた寝をするうちに、薔薇の精が現れて少女を踊りに誘う、というもの。
少女役がお婆ちゃんというだけで斬新!だったけど、素晴らしかった!
お婆ちゃんは薔薇を見ながら少女の頃に思いを馳せているうちにうたた寝をするのです。
リリアン・ギッシュは殆ど動かないのに、何という存在感と美しさだった事でしょう!大きな動きが無いからこそ、1つ1つの動きがとても響くのです。
そしてデュポンの薔薇の精の何と官能的で奔放だった事か!ウィットに富んでいて、甘く柔らかく、そして力強い。
踊っているのはデュポンなのに、デュポンは常にリリアンに観客の視線がいくように踊るから憎いよね。粋なのよ。
これと似たコンセプトの薔薇の精をいくつか見ましたが、この時以上の感動はない。
ピアノでいつか弾きたいな、あの時の感動をもって。