母の夢 | ママ、わたしは生きていくよ。

ママ、わたしは生きていくよ。

バリキャリ母と、平凡娘ひとり。
母子家庭を襲った母の癌。
闘病3年9か月で風になった母。

母の知らないわたしを徒然したためます。

トイレに起きると

母が布団で寝ていた。


「何してんの?」

声をかけると

「見やんといてよ」

寝乱れた姿を隠しながら母が答えた。



起きても

あー、ママまた飲んで帰って

そのまま寝たんやな。


なんて、現実と夢の区別がつかなかった。


夢の朝。

1月17日



阪神大震災。


大袈裟ではなく

母の人生が急降下していく始まりの日。



大手企業に就職できたのは

母が36歳くらいだったろうか。


出来ちゃった婚で

すぐに他の女性と逃げた父


過干渉で支配的な祖母

その中でやっと

母は一生の仕事につけたと喜んでいた。


震災で

大バッシングと、大損害をうけた会社の

系列雑誌社に勤めていた母。


いきなりの解雇。


母は心を少し病んで

職も決まらず転々としながら

荒れていき


わたしが20歳の時

役たたずと母と私をなじる祖母から

逃げるように、単身東京へ。


そこでも20時間労働を10年続けて解雇。


鞭打った母の体は癌に侵されて言っていた。


母が自分で自虐ネタとして言っていたけど

本当に

あの震災が無ければ。


まだ母は、私の隣にいたかもしれない。


そんなことばっかり考えてる

ヘタレな私のところに

17日来てくれたのかもしれない。


生きていく力を

養っていかなければ。


「あんた、

 あたしがおらんかったら

 あの家でひとりぼっちやん」


生きようと抗う

母のあのときの言葉が

毎日毎時間頭に浮かぶ。





なんだか最近

立ち上がることも億劫で

うずくまっていたい。